中小企業診断士と科目免除

概要 難易度・合格率 科目と免除 予備校と独学 私の診断士試験

ここでは、中小企業診断士の1次試験について、科目を紹介するとともに、1次試験の特徴でもある「科目免除」についてもお話します。

– 目次 –
  1. 各科目の紹介
  2. 科目免除

科目の紹介

1. 経済学・経済政策

経済学・経済政策は、1日目の1限目に実施される科目です。試験時間は60分です。

科目の概要

経済学・経済政策は、一般的な試験で言う「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」です。

得点のしやすさ

80点前後の高得点が狙えます。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

経済学は、ミクロ経済・マクロ経済共に完全に「理解重視」です。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 普通
  • 合格難易度 → 低い

経済学はアカデミックな科目であり、答えがはっきりしているため、学習難易度は低いと思います。ただし、学習範囲はやや広いです。一般的に、ミクロ経済の方が、マクロ経済よりも理解がしやすいと思います。

2次試験との関連

なし

科目の免除

  • 経済学を選択した公認会計士・合格者
  • 不動産鑑定士・合格者
  • 一定の教授等

2. 財務・会計

財務・会計は、1日目の2限目に実施される科目です。試験時間は60分です。

科目の概要

財務・会計は、商業簿記、工業簿記、財務分析、ファイナンス理論及び投資理論から構成されています。

直近5年間を見ると、ファイナンス理論及び投資理論からの出題が最多で、次いで商業簿記からの出題が多くなっています。

● 本試験の出題傾向
科目
合格率
アカウンティング ファイナンス
簿記・財表 工業簿記 投資理論等 財務分析
2019年 16.3% 8問 2問 12問 3問
2018年 7.3% 9問 2問 9問 5問
2017年 25.7% 8問 3問 11問 3問
2016年 21.6% 7問 4問 12問 2問
2015年 36.9% 7問 3問 11問 4問
2015年 6.1% 8問 2問 12問 3問

得点のしやすさ

90点前後の高得点が狙えます。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

財務・会計は理解がベースになりますが、財務分析や投資理論などは暗記色が強いと思います。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 高い
  • 合格難易度 → 低い

財務・会計は学習範囲が広いため、未学習者にとっては学習難易度は高いでしょう。一方、簿記1級合格者や全経合格者、税理士試験や公認会計士試験の合格者などにとってはかなり簡単で、得点源になる科目です。

2次試験との関連

事例問題Ⅳと完全リンク

科目の免除

  • 公認会計士・合格者
  • 税理士・合格者
  • 弁護士・合格者

3. 企業経営理論

企業経営理論は、1日目の3限目に実施される科目です。試験時間は90分です。

科目の概要

企業経営理論は、経営戦略、組織論及びマーケティングから構成されています。中小企業診断士の「コア科目」です。

学習ボリュームが多く実務寄りの科目のため、学生や周辺知識の少ない人にとっては特に難しく感じる科目でしょう。

また、問題が何を言っているのかを理解するのかがとにかく難しく、読解力も必要な科目です。

得点のしやすさ

高得点は難しく、足切りに注意が必要な科目です。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

基本的に理解重視の科目ですが、用語や意味、内容を覚えていないと解けない問題も多いので、暗記色も強い科目だと思います。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 高い
  • 合格難易度 → 高い

学習範囲が広く、理解に時間がかかるため、学習難易度が高い科目です。

2次試験との関連

企業経営理論は、2次試験の事例問題Ⅰ事例問題Ⅱ完全リンクしています。

また、事例問題Ⅲにおいても、企業経営理論の知識を活用することが多々あります。

科目の免除

なし

4. 運営管理

運営管理は、1日目の4限目(最後)に実施される科目です。試験時間は90分です。

科目の概要

運営管理は、「生産管理」と「販売管理」から構成されています。

生産管理は、工場の効率的な生産管理を主とした内容です。また、販売管理はマーチャンダイジングに関する内容で「販売士」に出題されるような内容です。

得点のしやすさ

70点~80点程度の高得点が狙えます。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

基本的に理解重視の科目ですが、用語や意味、内容を覚えていないと解けない問題も多いので、暗記も必要な科目です。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 普通
  • 合格難易度 → 普通

特殊な用語が多く、とっつき辛い科目で、得意不得意が分かれる科目です。ただし、基本的には理解し易い科目であり、一般常識でなんとなく解ける問題も多いため、診断士試験の中では難易度の低い科目だと思います。

2次試験との関連

2次試験の事例問題Ⅲに完全リンク

科目の免除

なし

5. 経営法務

経営法務は、2日目の1限目に実施される科目です。試験時間は60分です。

科目の概要

経営法務は「会社法」と「知的財産権法」からの出題がメインで、そのほか民法や経営承継法などの問題も出題されます。

また、毎年英文の問題が1問出題されるのが特徴です。TOEICで800点以上の人は、アドバンテージがあると思います。

得点のしやすさ

安定した高得点はほぼ無理で、常に足切りに注意が必要です。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

会社法や知的財産権法などは暗記要素の強い科目です。一方、民法は暗記をベースとした理解が必要ですが、範囲が広いため、相続の辺りを覚えていれば十分です。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 高い
  • 合格難易度 → 高い

学習範囲が広く、法律的な理解も必要とされるため、難易度が最も高い科目です。この科目の難易度が全科目合格者の合格率の高低に直結しています。

2次試験との関連

なし

科目の免除

  • 弁護士・合格者

6. 経営情報システム

経営情報システムは、2日目の2限目に実施される科目です。試験時間は60分です。

科目の概要

経営情報システムは、IT関連知識の問題です。ITパスポート試験の内容と似ています。

得点のしやすさ

安定して70点前後の得点が可能だと思いますが、90点付近はなかなか難しい科目です。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

過去問にある基本的なITの知識問題が多いですが、近時のトレンド(例えばAIやVRなど)を意識した問題が出題されるため、暗記と同時に、ITに対するアンテナを強く張っている人が有利です。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 人による
  • 合格難易度 → 人による

学習範囲が広く、専門性が高い科目ですが、IT関連知識のある人にとっては一般常識的な内容も多いと思います。

ただし、毎年数問は、かなりマニアックな問題が出題されるため、勉強が奏功しないことが往々にしてあり得ます。

2次試験との関連

なし

科目の免除

  • 技術士等
  • ITストラテジスト・システムアナリスト
  • 応用情報技術者・ソフトウェア開発技術者・第一種情報処理技術者
  • システム監査・情報処理システム監査
  • プロジェクトマネージャ
  • システムアーキテクト・アプリケーションエンジニア・特種情報処理技術者

7. 中小企業経営・中小企業政策

中小企業経営・中小企業政策は、2日目の3限目(最後)に実施される科目です。試験時間は90分です。

科目の概要

中小企業経営・中小企業政策は、中小企業白書から問題が出題される「中小企業経営」と、中小企業に関連する助成制度などに関する知識を問う「中小企業政策」から構成されています。

得点のしやすさ

比較的、学習量の大小が得点に直結する科目で、安定して70点前後の得点が可能です。

科目の特徴

暗記重視 両方 理解重視

完全に「暗記重視」の科目です。

科目合格率の推移

難易度

  • 学習難易度 → 低い
  • 合格難易度 → 普通

学習範囲はあまり広くなく、基本的に暗記メインの科目のため、難易度は低いでしょう。

ただし、7科目最後の科目ということもあり、ここまで手が回らない人が多いのが現実です。

2次試験との関連

なし

科目の免除

なし

科目免除と資格

中小企業診断士試験の1次試験では、「一定の有資格者」と前年又は前々年の「科目合格者」が、受験の申込時に免除申請をすることで科目免除を受けることができます

1. 科目免除を受けることができる資格

科目免除を受けることができる「資格」は次の通りです。

  1. 経済学・経済政策
    • 経済学の教授等
    • 経済学博士
    • 受験時に経済学を選択して合格をした公認会計士及び試験合格者
    • 不動産鑑定士及び試験合格者
  2. 財務・会計
    • 公認会計士等
    • 弁護士等
    • 税理士等
  3. 経営法務
    • 弁護士及び試験合格者
  4. 経営情報システム
    • 技術士等
    • ITストラテジスト・システムアナリスト
    • 応用情報技術者・ソフトウェア開発技術者・第一種情報処理技術者
    • システム監査・情報処理システム監査
    • プロジェクトマネージャ
    • システムアーキテクト・アプリケーションエンジニア・特種情報処理技術者

2. 科目免除をするか否か

科目免除の是非は、次の3点を考慮して選択すべきと思います。

  1. 免除を申請する科目の別
  2. 日常での関わりの強さと最後に勉強したときの記憶
  3. 試験までに残された受験期間

(1) 免除を申請する科目の別

私の経験、周りの友人、ウェブ上の情報から考えると、下記の通り分類できると思います。

積極的に科目免除を受けるべき科目

まず、積極的に科目免除を受けるべき科目は「経営法務」です。

弁護士・診断士のダブルライセンサーである2人の友人の意見に加え、ネット上の情報も考慮すれば、経営法務は「免除すべき」で意見が確定しています。(ちなみに友人の専門は、2人とも相続問題・遺産分割です。)

理由は、細かな知識問題が多いため、少ない勉強時間の中で70点~80点を狙うのは費用対効果の観点から悪いとのことです。

免除を受けるべきではない科目

次に、科目免除を受けるべきではない科目ですが、これは「財務・会計」です。

公認会計士や税理士にとって、診断士の1次試験で出題される簿記は楽勝レベルの問題です。無勉強でいけます。

また、未学習論点である「ファイナンス理論」や「投資理論」については、範囲が狭く、過去問と同じような問題が繰り返し問われているため、2週間ほどしっかり勉強をすれば、安定して80点以上が狙えます。

したがって、科目免除を受けてみなし60点になるよりも、高得点を奪取し、総得点基準を突破する方が絶対に良いです。

また「財務分析」は2次試験でも必須の知識になりますので、1次試験で勉強をしておく方が2次試験対策としても有効です。

他の要因(2)と(3)を考慮して考えるべき科目

「経済学・経済政策」と「経営情報システム」については、次の(2)と(3)を考慮して、免除すべきか否かを決定した方が良いと思います。

(2) 日常での関わりの強さと最後に勉強したときの記憶

経済学・経済政策

経済学を日常的に業務で触れている人はかなり少数派でしょうから、最後に勉強をしたときから何年も経過しているような人は積極的に免除申請をした方が良いでしょう。

一方で最近勉強をしたような人については、(3)も考慮して、免除申請をすべきか否かを決めた方が良いと思います。

経営情報システム

プログラムやDBに対する知識のある人は、無勉強で解ける問題がたくさんあり、安定して70点前後は取れると思います。

ただし、思いのほか80点以上の高得点は取りにくいので、(3)も考慮して受験するか否かを検討すべきでしょう。

なお、プログラムやDBの制作経験の無い人は、基本的に科目免除を前提に考えた方が良いと思います。

(3) 試験までに残された受験期間

試験まで残された期間が10ヶ月以上かつ1ヶ月で80~100時間の勉強時間を確保することができる人は、全ての科目をじっくり勉強をすることができますので、科目免除を受けないという選択もありです。

なぜなら「科目免除を受けることができる」という人は、その分野について既に深い知識(少なくとも診断士試験を受けるに当たっては)を持っていると思いますので、勉強をする時間も少なくて済み、かつ、勉強をしなおせば得意科目へと成長する可能性が高いからです。

3. 筆者の場合

詳しくは「私の診断士試験」を見て頂けたらと思いますが、ざっと「筆者の科目免除」について書いておきます。

まず、筆者の受験時のスペックは下記のような感じです。

(1) 保有資格

  • 不動産鑑定士 → 経済学の免除申請可
  • 応用情報技術者 → 経営情報システムの免除申請可
  • FP2級

(2) 経験

  • 税理士試験に4科目(簿財法固)に合格済み → 財務・会計が有利
  • 税理士試験の2科目(相消)の学習経験あり → 経営法務などで若干有利
  • 不動産鑑定士試験で民法の学習経験あり → 経営法務で若干有利
  • 仕事で特許出願・商標出願をした経験あり → 経営法務などで若干有利
  • ITでJS、PHP、Apache、MySql、Oracleでウェブサービスを制作した経験あり → 経営情報システムで有利
  • 不動産鑑定士の仕事でマーケティング分析した経験あり → 運営管理で若干有利

(3) 受験期間と勉強に充てた時間

12月の末から5月の半ばまで、1日2~3時間の勉強時間をあてました。その後は、7月の中旬まではほとんど勉強をせず、最後の3週間で1日1~2時間の勉強をしました。

(4) 受験環境

  • 税理士試験(消費税法)の勉強と同時並行
  • 税理士法人へ転職

(5) 免除申請した科目

経済学・経済政策

最後に

科目免除を受けるメリットは「勉強時間の節約」です。診断士試験は7科目と科目数が多く、1つ1つの科目の学習範囲も広いため、科目免除の恩恵は大きいです。

特に、学習期間が8ヶ月前後というような人(年末頃に始めるような人)は、真剣に科目免除を検討すべきと思います。

概要 難易度・合格率 科目と免除 予備校と独学 私の診断士試験