不動産鑑定士の予備校の選び方

概要 予備校 難易度 年収 仕事内容 働き方 魅力

ここでは不動産鑑定士試験を受けるに当たっての、「独学の可能性」についてお話しをした上で、不動産鑑定士の講座を取り扱う予備校講座の選び方についてご紹介します。

目次

予備校 or 独学

独学or予備校

不動産鑑定士試験の勉強を始めるに当たって一番最初に悩むのが「予備校」と「独学」のどちらを選択するのか?だと思いますが、単刀直入に言うと、不動産鑑定士試験の勉強方法として独学は全く向いていません。(断言できます)

理由はいくつかありますが、特に次の2つが大きいと思います。

  1. 試験に対応する市販の教材が少ない(初学者向けは特に)
  2. 試験の各科目の難易度が高い(論文式試験は特に)

① 市販の教材について

不動産鑑定士試験の対策として有効な市販教材も、確かに書店で販売しています。ですが、これらのほとんどのものが専門学校から出版されているものです。

基本的に予備校から出版されている教材というのは、既に予備校で一通り勉強をした人がプラスαの勉強をするための教材です。

予備校以外から出版されるもので有用なものと言えるのは次の「要説不動産鑑定評価基準と価格等調査ガイドライン」と「石川の経済学シリーズ」くらいでしょう。

要説 ミクロ マクロ

したがって、初学者の人が市販の教材だけを利用して合格するというのは、現実的ではありません。

② 各科目の難易度について

一般教養科目とされる民法・会計学・経済学は、かなり専門性の高い学問です。

そのため、予備知識のない人がいきなり教科書を見てもまず理解できないでしょう

もちろん、大学や他の資格試験で既に一部の科目を学習済みの人もいるかもしれませんが、全ての科目を学習できている人はいないでしょうから、予備校を利用するの無難です。

また、この試験の最重要科目である「鑑定評価理論」に至っては、「最有効使用の原則」や「適合性の原則」など、不動産鑑定評価独特の考え方がありますが、これらの内容を本質的に理解することは初学者にはほぼ不可能と言えます。

したがって、どのような状況下であれ、勉強方法は予備校を選択するのがベストになります。

科目免除者のための講座(割引制度)

LECでは科目免除を受けることができる人(例えばが公認会計士や弁護士の試験に合格をした人など)が利用をすることができる割引制度があります。該当する方は参考にしてください。

2020年合格目標:短答+論文フルコース(1科目免除)

予備校・講座の選び方

不動産鑑定士の講座のある予備校は現状「TAC」と「LEC」の2つしかありませんので、不動産鑑定士の勉強をする場合は必然的にどちらかの予備校を選択することになります。

なお、両校の「特徴」と「各科目の講義内容」を比べると次のような感じになると思います。

LEC 比較 TAC
合格実績
受験生のレベル
受講料
民法
経済学
会計学
鑑定評価理論
鑑定評価演習

両校の特徴をざっくりと言うと、LECは受講料が安いけど、合格実績が低く、一方でTACは受講料は高いけど、合格実績が高いという特徴があります。

なお、どちらも一長一短ですので、どの予備校の、どの講座を受講するかは次のことを考慮して決めると良いと思います。

  1. 初学者 or 経験者
  2. 確保できる勉強時間
  3. 金銭的余裕

ここからは、筆者の経験や友人からのヒアリングを基に、筆者がお勧めする予備校と講座をご紹介します。

初学者の場合の予備校・講座の選び方

初学者の場合は、勉強時間をどれだけ確保できるか?金銭的余裕はどのくらいあるのか?を中心に考え、次のように予備校と講座を選択すると良いでしょう。

Case1:平日は6時間以上、休日は10時間以上の勉強時間を確保することができる人

学生や勉強専念者が該当しますが、このような人の場合は迷わず「TACの本科生コース」を選択しましょう。

● 2020年合格目標

  • 1.5年L本科生
  • 1.5年L本科生Plus

TACは講義レベルが高いですが、講師は第一線で活躍する実務家が担当することが多いため、講義内容が面白く、その内容も具体的で分かりやすいという特徴があります。

特にこの試験の最重要科目である鑑定評価理論の講師は、説明が上手で、分かりやすく、不動産鑑定評価実務を経験していない人でも理解できるように説明をしてくれます。

暗記に走りがちな鑑定評価理論について「理解が重要なんだ」といことを気づかせてもらえるでしょう。

ちなみに、他の科目がどれだけできても、不動産鑑定評価理論ができなければ落ちます

なぜなら、不動産鑑定評価理論は他の科目の2倍の配点があり、また、他の科目よりも得点になりやすい科目だからです。

TACの講義にしっかりついて行き、復習をしていれば、自然と実力がつきます。1年間コンスタントに1日平均6~8時間の勉強をしていれば、TACの全国模試で成績上位者になることも十分可能です。そうなれば、かなりの確率で合格をすることができるでしょう。

なお、今から学習を始めた場合は2019年合格はほぼ不可能だと思いますので、2020年の合格を目指した方が良いと思います。

通常コースとPlusコース

通常コースは短答も論文も2020年に受験し、2020年に合格を目指す講座です。一方Plusコースは、2019年から短答と論文を受験をし、もし2019年に合格ができなくとも、最終的に2020年までに合格をすることを目的とした講座です。

筆者の意見としては、2019年は短答式試験に集中し、2020年は論文式試験に集中をするという勉強スタイルの方が合格可能性が高いと思いますので、Plusコースの選択をお勧めします。

Case2:平日2~4時間、休日6時間以上の勉強時間を確保することができる人

時間にそれなりに余裕のある社会人が該当しますが、このような人の場合は「LEC – 2020年合格目標:短答+論文フルコース」の選択をお勧めします。

この選択の主旨は、とにかく「合格者予備軍」に入ることを目的としています。

どういうことかと言うと、不動産鑑定士試験の難易度は「科目難易度が高く、試験範囲が広いため、合格レベルに達するのが困難である」というところに起因しています。

逆に言えば、合格者予備軍に入ってしまえば、合格がしやすい試験とも言えるのです。

現に、最近の不動産鑑定士試験の合格率は以前と比べてかなり上がってきているため、その傾向が強くなっています。

多くの学習時間を捻出することができない社会人にとっては絶好の機会が訪れていると言えるでしょう。

したがって、学習ボリュームの少ないLECで学習し、合格者予備軍に入るというのが現状はベスト戦略と言えます。

合格者予備軍とは?

合格者予備軍とは、潜在的に、合格答案を書くことができるレベルの受験生の集団のこと、つまり合格する可能性のある人のことを言います。

難易度の高い資格試験の場合は、試験会場にいる受験生の中で合格者予備軍に該当する人は、全体の4割~5割くらいです。残りの人達はそもそも合格するには勉強量が足りていない人達です。(これは解答用紙が回収されたときに、白紙答案の多さからも分かるでしょう。)

そのため、例えば合格者予備軍が30%いると仮定した場合には、合格率が5%から10%に上昇をすると、合格者予備軍の人にとっては合格率が2倍(=10%/40% ÷ 5%/40%)上昇することになります。

近年は不動産鑑定士試験の合格率がかなり上がっています。そのため、合格者予備軍に入りさえすれば、合格できる可能性が以前よりも格段に高くなっていると言えるのです。

Case3:上記以外の人

1日当たり2時間未満の勉強時間しか確保できない人はLECの「短答合格コース【通信】」を選択することをお勧めします。理由は安いからです。

不動産鑑定士試験は、短答式2科目・論文式4科目(実質5科目)で実施される試験です。そのため、1年間のうちで学習に費やす勉強時間は必然的に多くなります。(例えば5科目を1日1時間ずつするだけでも、5時間必要になります。)

そのため、1日の勉強時間として2時間未満しか確保できないような人の場合は、長期的な合格(2年または3年)を目標とするのが妥当です。まずは短答式試験を合格し、その後論文式試験のための環境を作る、と考える方が良いでしょう。

ちなみに、短答式レベルでは、LECでもTACでも大差はないと思いますので、安い方を選択するのが良いと思います。

経験者の場合の予備校・講座の選び方

前年に不動産鑑定士試験を受験している人の場合は、短答式試験に合格しているか、していないかで次のように考えてもらえると良いと思います。

Case1:短答式試験にまだ合格をしていない人

短答式試験に合格をしていない人は、実質的なレベルは初学者と同じレベルだと思いますので、上記の「初学者の予備校・講座の選び方」を参考に選んでください。

Case2:もう1度短答式から受けなおす人

短答式試験の合格から3年を経過し、来年は再度短答式試験から受験しなおさなければならないという人は、TACの「上級本科生(短答対策付)」を選択することをお勧めします。

短答式試験に1度合格をし、論文式試験を受けている人であれば、各科目に対する理解は十分だと思いますので、過去問や各種予備校が出版する問題集をやり込めば十分合格できるはずです。TACの講座を選ぶことで、合格確実性を高めましょう

Case3:短答式試験に合格済みの人

短答式試験に合格済みの人は、TACの「上級本科生」一択で良いでしょう。

短答式試験に合格済みで、1度論文式試験に本気で取り組んだ人の場合は、既に合格者予備軍に入っている可能性が高いです。

そのような人の場合は、力を維持するというよりも、力を向上させるための行動をとりましょう。講義レベルの高いTACの「上級本科生」で学習をすることで(成績上位者になることで)、合格可能性は相当に高まるはずです。

さいごに

筆者は10年ほど前に3回のトライの上、不動産鑑定士試験に合格をしました。

1回目はちょうど、試験制度が旧制度から新制度へと変わった年でした。その年の前年などに公認会計士試験や司法試験なども制度変更がありました。

他の資格試験では制度変更があった年は合格者が増加する傾向にありました。そのため、不動鑑定士試験も合格者が増えるのではないか?と淡い期待を抱いていました。

ところが蓋を開けてみると、合格者は前年の170人から大幅に減少をし、過去最低の94人というものでした。本試験で1つ大きなミスをしたことでA判定不合格という悔やまれる結果となりました。

当時はアルバイトをしながら、まさに人生をかけて受験をしていたので、不合格という結果は心身共に大きなダメージを受けました。

それから… 10年ほど経ちましたが、最近は資格は合格してからがスタートだと改めて思います。私の周りには本試験まで5年とか長い人では10年という月日をかけて合格にこぎつける人がいますが、ほとんどの人が合格後、楽しそうに毎日を送っています。

確かに、資格の世界は「資格をとってこそなんぼ」の世界ではあります。でも不合格であっても、来年もう1度頑張れば良いだけです。

資格試験で大切なことは、自分にできる精一杯を継続することです。諦めず、努力をし続けることで成功は見えてくると最後にお伝えしておきます。

概要 予備校 難易度 年収 仕事内容 働き方 魅力