簿記論における計算用紙の使い方

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この記事の「計算用紙の使い方」は、簿記論の第3問(いわゆる総合問題)を解くに当たっての計算用紙の使い方についてのお話です。

はじめに

簿記論は、計算用紙の使い方について最も悩む科目だと思います。インターネット上でも、その使い方について結論が出ていないことからも「計算用紙の使い方については正解が無い」ということが分かります。

結局のところ、計算用紙の使い方は「自分にとって最適なものを見つけ、それに慣れること」が最良なのです。

この記事では「自分なりの計算用紙の使い方」を見つける上での判断ポイント、すなわち、計算用紙を使うことによるメリット&デメリット、をお伝えします。

そして最後には、筆者自身の計算用紙の使い方をあわせてご紹介したいと思います。

– 目次 –

  1. 計算用紙を使うメリットデメリット
  2. 私の計算用紙の使い方
  3. ※計算用紙のダウンロード

なお、簿記論については「計算用紙の使い方」以外にも受験テクニックがありますので、他にも知りたい方は次の記事を参考にしてください。

計算用紙を使うことのメリットデメリット

計算用紙を使う場合は、計算用紙を使わない場合と比べてメリットもあれば、デメリットもあります。

次からはそのメリットとデメリットの代表的なものをご紹介します。計算用紙を使うか使わないかの判断の一助としてください。

① 転記ミスが起こりうる:デメリット

「問題用紙」の数字を「計算用紙」に転記すると、「問題用紙 → 計算用紙」の段階で転記ミスが発生する可能性があります。

いくら計算過程が正しくても、ここでミスをするとThe ENDです。このミスを嫌って計算用紙を介さない人もいます。

② 転記漏れ防止になる:メリット

計算用紙を使用しないと意外と起こるのがこの転記漏れ。例えば前TBの「為替差損益」の足し忘れ、「経過勘定項目」の振替仕訳のし忘れなどがそうです。

計算用紙を利用して前TBなどの各勘定科目の数値を転記すれば、転記漏れはほとんど起こらなくなります。

③ 計算用紙への転記は最低5分は必要:デメリット

どの程度転記するかにもよりますが、問題用紙にある前TBなどの各数値を計算用紙に転記すると、最低でも5分はかかります。

勘定科目に応じて転記する場所を考慮したり、途中で簡単な計算(例えば仮受消費税と仮払消費税を相殺したりする計算)を入れたりすると、転記だけで10分~15分かかります。勘定科目内訳表がある場合に大まかな処理もした場合には20分以上かかることもあります。

したがって、転記を全くしない場合(例えば前TBなどを問題用紙からちぎったりする場合)と比べると、問題を解く時間が10分~15分ほど短くなります

④ 計算ミス防止になる:メリット

計算用紙を利用する場合は利用しない場合と比べて計算ミスが減ります。特に集計量の多い「現金」「当座預金」「売掛金」「仕入」などについては計算用紙を利用する場合としない場合とでは雲泥の差があります。

その他にも、貸借のどちらが正になるか分からない「為替差損益」や「その他有価証券評価差額金」などの符号ミスの防止にもなります。

⑤ 様々な問題に対して自分なりの対処方法を考える必要がある:デメリット

第3問の問題には「前TB」スタートの問題もあれば、「2月末試算表」「期首試算表」スタートの問題もあります。タイプとしても「本支店形式」「連結形式」「製造原価報告書形式」など様々なタイプの問題があります。

したがって計算用紙に転記する方法を選択すると、それぞれのタイプにつき自分なりの計算用紙の使い方を見つける必要が出てきます。

⑥ 解答時間が短縮される:メリット

問題用紙の各勘定科目の数値を全て計算用紙に転記すると、問題表紙を何度もめくってページを行き来する必要がなくなるため、解答時間が短縮されます。


以上が問題用紙の前TBの数値を計算用紙に転記した場合の代表的なメリット・デメリットです。

上記のどの点を重視するかは人それぞれです。インターネットで調べても「全て転記する人」もいれば「集計量が多い科目だけを転記する人」もいるし、「全く転記しない人」もいます。

前述の通り、計算用紙の使い方に正解は無く、本試験までに自分なりの使い方を見つければ良いわけです。ただし、全ての受験生に共通する最も重要なことは「自分流に慣れる」ということです。

本試験対策の1つは間違いなく「計算用紙の使い方」ですので、本試験までにブレない自分なりの使い方を見つけましょう。

私の計算用紙の使い方

前述のメリットとデメリットの両者を勘案した上で、私が最終的に採用した方法は「前TBの勘定科目の数値を全て計算用紙に転記する」という方法でした。

理由はデメリットはほぼ克服できる、又は、多少のデメリットはあったとしてもメリットの方が断然大きいと考えたためです。

例えば、デメリットの1つ「転記ミス」については、ゆっくりと丁寧に転記をすれば、転記時間が若干(2~3分)長くなりますが、転記ミスはほぼ回避できます。

計算用紙への転記に時間がかかるというデメリットは、一度転記してしまえば問題用紙の前TBなどを2度と見なくてよいため、「転記時間+解答時間」を考えれば、結局変わらない(むしろ短くなる)という結論に達しました。

この他、様々な形式の問題への対応についても、ベースを1つ作った上で、総合問題をたくさん解けば、自然と柔軟に対応できるようになります。

一方「転記漏れ防止」と「計算ミス防止」のメリットは非常に強力で、計算用紙の使い方が固まってからはケアレスミスをほとんどしなくなりました。(実際に本試験でも第3問のケアレスミスはゼロでした。)

したがって、私は第3問(総合問題)については、問題用紙の前TBの数値を全て計算用紙に転記をするのが一番正しいと考えています。

もし今現在、計算用紙の使い方に迷っている方は、次から私の計算用紙の使い方をご紹介しますので参考にしてください。

計算用紙について

次の画像は本試験で配布される計算用紙です。表には「T勘定」がプリントされていて、裏は上端と下端以外には何も記載されていません。

私の計算用紙の使い方①

個人的には、普段の確認テストや模試でもこちらの計算用紙を使った方が良いと思っています。(計算用紙の使い方はとにかく慣れですから。)


このような計算用紙が持っていない方は、下記から計算用紙のサンプルをダウンロードして使ってください。

私がワードで作ったものです。印刷をするときは「B4サイズ」でプリントアウトしてください。

計算用紙のサンプル

ホチキスの留め方

本試験で計算用紙が配られたら、2つの計算用紙を表にし、重ねます。ホチキスは用紙の「」ではなく、「」に留めます(右側の画像の下を参照)。なぜなら、下に留める方が上に留めるより、楽に用紙をめくることができるからです。

私の計算用紙の使い方②

ホチキスで用紙を留めたら、ホチキスの上の部分と用紙の真ん中部分に「折り目」を付けます(画像右③を参照)。こうしておくと、試験中にスムーズに用紙をめくることができます。

本試験では、私はここまでの作業を計算用紙が配られたら直ぐにしました。ホチキスで留める時に「パチン」と音が出てドキドキしましたが、別に誰にも何も言われませんでした。

書き込みをしているわけでもありませんので、特に問題は無いと思います。

1枚目の使い方

ここからは試験開始後にします。第3問を解く時に1番初めに見るのは「指示事項」です。いつもと明らかに違うような指示があれば「赤ペン」で計算用紙の冒頭に書きます。(例えば「解答は千円単位!四捨五入!」など)

指示事項を読み終えたら、解答要求されている勘定科目や番号が記載されているページに移ります(ほとんどの場合、問題用紙の最後のページか答案用紙にあります)。この解答要求されている「勘定科目」と「番号」を計算用紙に転記します。

慣れてくると勘定科目は「受取手形→受」、「売掛金→売×」などと省略しても分かるようになってきます。

解答用紙に番号が記載されている場合は必ず番号も一緒に書き加えます(これ重要です。)


この時に記入していく「勘定科目の場所」と「書き方」を、次の絵と画像を使いながらもう少し詳しく説明をします。

– 1枚目の計算用紙の使い方 –
1枚目の計算用紙
1列目と2列目

1枚目の1列目と2列目の左4つのT勘定(画像の①)には、現金・当座預金・普通預金などのキャッシュ、受取手形・売掛金・外貨建売掛金などの売上債権、貸倒引当金・売上・貸倒損失などの売上債権に関係するものを記載します。

基本的に1~3列目については1勘定科目につき1T勘定を使います。もし解答要求された勘定科目の数が多い時は、これらうち動きの少ない勘定科目(例えば貸倒損失や電子債権など)をT勘定の欄外に手書きでT勘定を書き加えて対応します。

また、1列目の1番右側のT勘定には「税効果関係の科目」を、2列目の1番右側のT勘定には「未払消費税等」を記載します。

– T勘定への税効果会計の記載方法 –
税効果会計の記載方法

税効果会計については1つのT勘定で「繰延税金資産」と「繰延税金負債」を記載します。具体的には、後TBに記載される繰延税金資産を左側へ、繰延税金負債を右側へ記載します。

また、法人税等調整額を算出することに備えて次のことをします。

まず、T勘定の左上に前TBの繰延税金資産を、右上に繰延税金負債を記載します。次にT勘定の真ん中より下側へ水平線を描きます。法人税等調整額に影響を与える項目はその水平線の上へ、法人税等調整額に影響を与えないものは水平線の下側に記載します。

こうすることで、後で法人税等調整額を算出するときに計算が分かりやすくなります。(もちろん税効果の項目が多いと感じたら法人税等調整額は即切ります。)

3列目と4列目

3列目には1列目と2列目に記載した勘定科目以外で、動きの多い勘定科目を記載します。5つしかT勘定がないので記載するものは厳選します。私の場合は「買掛金」「為替差損益」「退職給付引当金」「営業費」「人件費」などを充てていました。

4列目にはそれ以外の項目を全て記載します。左側は「資産」真ん中を「費用・収益」右側を「負債・純資産」の項目を記載しました。

なお1~3列目についてはT勘定をそのまま使いますが、4列目についてはT勘定は「仕切り線」として使います。(3列目はケースバイケースで、4列目のように使う場合もありました。)(下記参照)

– T勘定の使い方 –
T勘定の使い方

なお、私が実際に本試験で使用した計算用紙の1枚目は次の画像の通りです。

本試験で実際に私が書いた計算用紙

2枚目の使い方

2枚目は基本的に、仕入・商品関連を解くためだけに使います

最近の本試験では、仕入は複数商品を取り扱うことが多いため、1つのT勘定だけで解くのは得策ではありません。また、複数のT勘定を1枚目で使うと場所を取りすぎてしまいます。さらに、仕入・商品関連は捨て問になることが多いという特徴があります。(つまり仕入・商品用に場所を確保したのに、結局必要なかった、なんてことが起こるということです。)

したがって、仕入関連の勘定科目は2枚目で処理するのがベストという結論に達しました。

計算用紙2枚目の使い方
3列目と4列目について

2枚目については「ページをめくりづらい」ということもあって、下半分(3列目と4列目)は基本的に使いません。第1問や第2問の計算用に残しておきます。

なお、私が実際に本試験で使用した計算用紙の2枚目は次の画像の通りです。

計算用紙の2枚目の使い方

この年の本試験は「商品関連」は難易度が高かったため、即捨てをし、ほとんど何も記載していません。

代わりに第1問の計算用スペースとして使っています。

最後に

簿記論の合格可能性を高めるのは間違いなく第3問の出来次第です。そしてこの第3問の出来に大きく影響を与えるのが「計算用紙の使い方」です。したがって、計算用紙の使い方を考えることは「本試験対策をする」と同義と言えるのです。

ただし、一番良くないのは、本試験の直前に自分のやり方を変えてしまうことです。自分のやり方を変えてしまうと、確実にミスが増え、処理スピードが落ちます。

したがって、少なくとも本試験1ヶ月前までには自分なりの計算用紙の使い方を決め、それ以後は、本試験までそれに完璧に慣れることです。

どの計算用紙の使い方が正しいというのはありません。どれだけその使い方に慣れているかだけです。頑張って「自分なりの計算用紙の使い方」をマスターしましょう😊

合格する考え方 経験者の勉強方法 初学者の勉強方法 受験テクニック 解答用紙の使い方