簿記論を確実に合格する勉強方法|初学者編

合格する考え方 経験者の勉強方法 初学者の勉強方法 受験テクニック 解答用紙の使い方

この記事は、税理士試験の簿記論初学者にフォーカスし、予備校の選び方各時期の勉強方法をお話します。

なお、この記事でいう初学者とは、税理士試験の簿記論を初めて受験する人の他、前年度の大手予備校の直前期の模試でほぼほぼ平均点未満だった人も指します。

なお、簿記1級合格者全経上級合格者は「経験者の勉強方法」を参考にしても良いと思います。

  1. 予備校と独学
  2. 具体的な勉強方法

予備校と独学

1. 予備校の選び方と独学

初学者の予備校選択については、次のいずれかの選択がベストでしょう。

  1. 大手予備校約19万円~
    TAC or 大原
  2. web予備校2.3万円+0.2万円+5万円=7.5万円
    スタディング + 市販問題集 + 大手の直前対策パック

大多数の人は大原TACの2大予備校を受講しますが、簿財について言えばスタディング → 大手の直前対策パックもありでしょう。

一方で、初学者の独学はやめた方が良いでしょう。

なぜなら、独学はモチベーションの維持がとにかく難しいので、ほとんどの人が途中挫折し、時間とお金を無駄にします。また、簿記1級くらいの知識がないと、市販のテキストや問題集を購入して勉強をしたとしても、学習が非効率になるからです。

受講料をケチるとしても、「中古サイト」や「市販テキスト・問題集」を購入することになり、少なくとも全部揃えれば2万円くらいはします。この金額をケチるくらいなら、スタディングを利用してモチベーションを維持しながら勉強をする方が、個人的には良いと思います。

2. 予備校と受講コース

税理士の簿記論を取り扱う予備校は色々ありますが、前述の通り、大手の「TAC」か「大原」、格安web予備校の「スタディング」のどれかで良いと思います。

予備校 講座 料金 予備校の特徴
スタディング 簿財2科目フルコース(簿記入門付) 55,480円 圧倒的に安い受講料が売りのWEB予備校。簿記論の解説は良く、受講生サイトも使いやすい。
資格の大原 初学者一発合格コース【Web】 211,000円 最大手予備校の一角。手厚いサービスと充実したテキストが売り。簿記論合格者の大半が大原生。
TAC レギュラーコース 221,000円 最大手予備校の一角。簿財はそこまで強いわけではないが、税法では無類の強さを誇る。

受講料は「定価・税込」で表示をしており、各種の割引(例えば早割など)は考慮していません。

3. 大手の良さ

大手の良さはにはいくつかありますが、代表的なものは下記3つでしょう。

  • 大手は合格レベルを知っている
  • 大手における順位≒全体の順位
  • サービスの水準が高い

(1) 大手は合格レベルを知っている

基本的に、税理士試験で必要なのは受験者全体の10%以内に入ることです。こと大原とTACは、この水準を把握するのがとても上手です。

本試験を終えた後、各予備校は模範解答を開示するとともに、「ボーダーライン」と「合格確実ライン」を発表します。このラインの精度が大手はとても高いです。

一方、ネットスクールやLECなどは、ボーダーラインの設定や配点がおかしく、受験生全体のレベル感を掴めていません。

予備校が合格レベルの受験者のレベル感を把握していないと、受験生の目標設定がおかしくなり、「過剰」な勉強や「過少」な勉強をするリスクが高くなり、短期合格から遠のきます。

(2) 大手における順位≒全体の順位

2017年(67回)の官報合格者で、TAC生は263名、大原生は404名と、全官報合格者(672人)のうち大手予備校がその99%を占めます。

もちろん重複登録があるため、99%がTAC or 大原なんてことはないと思いますが、大手予備校での実力≒受験生全体の実力と言って良いくらいの実績です。

したがって、大手予備校で勉強をしていれば、常に自分の「立ち位置や習熟度」を把握することができます。

(3) サービスの水準が高い

他の予備校を受講すると分かりますが、やはり大手予備校は細かなサービスが行き届いていて、受講料が高いだけのことはあると思います。

4. 基礎はスタディングで良い

財務諸表論は、5年も経つと微妙に内容が変わりますが、基本的に簿記論は内容が変わりません。また、簿記論の情報は、webや市販テキストで十分な情報が手に入ります。

つまり「情報量」という面においては、簿記論は独学も可能なほどの情報があります。

しかしながら、先の通り、初学で独学は「モチベーション維持」と「体系的理解」ができません。それをカバーするのが、この「スタディング」であると私は思います。

知識が不十分な初学者が体系的に簿記を理解するには、紙面情報だけよりも、動画による方が良いです。また、スタディングの講師は大手予備校出身ということもあり、説明が上手で、分かりやすく、悪くありません。

なんと言っても、受講料が大手の1/4(実質1/8)というのが魅力です。これに大手の「直前対策パック」を組み合わせれば、試験対策もバッチリなので何の問題もありません。

恐らく、今後は徐々にスタディング受講者が増えてくると思います。

具体的な勉強方法

簿記論タイムスケジュール3

次からは、「大手予備校」と「web予備校」を利用する場合の勉強方法について説明をしていきます。

1. インプット前期:年末までの勉強方法

年末までの勉強方法は、
大手予備校の場合は「予備校のカリキュラム通りに勉強する」
スタディングの場合は「年内に受講できる講座は、年内にできる限り受講する
基本スタンスになります。

基本的に、大手予備校の場合はカリキュラム通りに受講する以外方法がありませんので、絶対にカリキュラムから遅れないようにします。

一方、スタディングでは12月末までにインプット講義の7割~8割を受講することができますので、年末までに全部終えられるように講義をドンドン受講します。なぜなら、先取りすればするほど、大手予備校生(つまりは受験生全体)に対して差をつけることができるからです。

なぜこのように学習序盤から飛ばすのかと言えば、初学者にとって、この時期が最も余裕のある時期だからです。

勉強開始時の簿記のレベル感によって、その余裕の感じ方は若干違うかもしれませんが、ほとんどの人にとって1日2時間も勉強をすればおつりがくるレベルです。

そのため、余裕のある時期に先取りして勉強を進めることで、5月以降の直前期を余裕をもって迎えることができ、簿記論攻略に重要な本試験対策に注力をすることができるようになるのです。

外販問題集は解く?

この時期は外販(市販)問題集には手を出さない方が良いです。なぜなら、外販問題集には未学習論点が多くあるため、学習が非効率になるからです。

なお、基本的に、市販の問題集で手を出すべき問題集というのは、「大手予備校が出す応用問題集」だけです。

ただし、スタディングの問題集はやや弱いので、余裕のある人は総まとめ問題集を購入し、年末に1回ざっと解くのが良いでしょう。

基礎系問題集は2回解く

よく「問題集は何度もまわせ」「最低3回はまわせ」と言いますが、基礎系問題集については「2回だけ解く」が正解です。

問題をたくさん解くことよりも、確実に論点(仕訳)を覚えることの方が大切です

なお、次のことを実践すると、少ない時間で効果的に学習をすることが出来ます。

STEP① 1回目は授業が終わった後直ぐに解きます。この時、間違えた問題や解答中に悩んだ問題はしっかりと復習をしましょう。

STEP② 2回目は、1週間後を目安にもう1度解きます。この時、事前にテキストを見てはいけません。見ると、苦手論点の抽出ができなくなります。

そしてここからが重要で、2回目の「解答中に迷った問題」または「間違えた問題」を自分ノートに書き込みます。

この「自分ノート」を作るか否かが、その後の簿記論の実力、勉強の負担、学習の進捗度合に大きく影響をしていきます。

なお、基本的には基礎系問題集を解くのはここで終わりです。これ以上解くのは時間の無駄になるため、この時点で段ボールの中などへしまった方が良いでしょう。やるべき問題集だけを本棚に置き、不要な問題集を視界から消すことで精神的にも楽になります。

総合問題については何度も解いても良いと思いますので、勉強時間の確保ができる年末に総合問題を積極的に解くようにしましょう。

自分ノートとは?

自分ノートとは、自分が間違えたり、知識があいまいだと感じる部分をまとめたノートの事を言います。

インプット期(基礎期)では、間違えた仕訳を単にノートに書き込みます。例えば、次の画像は消費税の仕訳をノートに記載したものです。

自分ノート

実際に問題を解いたときは税込方式の問題を間違えただけですが、念のため税抜方式で処理した場合の仕訳も合わせて記載しています。(ただし、毎回ここまで丁寧に記載する必要はありません。)

このような内容のものをドンドン自分ノートに書き加え、通勤時などに流し読みするだけで確実に記憶に定着します。何度も何度も問題を解くのは大変ですが、毎日の通勤時間などの隙間時間にこれを流し読みするのはさほど苦痛に感じないと思います。

テストとの向き合い方

この時期に行われるテストは順位を気にする必要は全くありません

したがって、良い点を取るためにテストの実施を遅らせるのは絶対にやめましょう

気持ち的には良い点を取りたいため、受講を遅らせたいと思うかもしれませんが、それは試験対策としは有効ではありません

もしある程度の実力が上がるまで受けたくないという人は、年末までテストを受けるのをやめましょう。

年末年始の過ごし方について

年末までは比較的スローペースで講義が進みますし、余裕を感じると思いますが、年明け後は講義ペースが飛躍的にアップします。講義後の復習量も増えるため、2月頃から少しずつフェイドアウトしていく初学者が出てきます。

そうならないためにも、年内の講義内容は年内に完結させることが大切です。もし仕事や家庭の事情により、予備校のカリキュラムから遅れることになったら、年末年始が挽回のチャンスです。

ほとんどの予備校では、12月の第2週(または第3週)以降から翌年1月の1週までは講義がありませんので、ここで一気に挽回します。

この数週間で総復習をかければまだまだ間に合います。逆に、これ以降はこれほどの挽回のチャンスはありません。したがって、最後のチャンスと思って全力で挽回しましょう!

2. インプット後期:4月までの勉強方法

どの予備校も、年明け以降は講義ペースが上がり、講義内容もどんどん難しくなります。

この時期の目標は1つ。直前期(5月以降)が始まるまでにインプットを完成させるです。

そのためには、前述の通り基礎系問題集は2回解くだけ自分ノートを作るを厳守し、学習に時間的余裕を持ちながらの勉強を続けましょう。

なお、4月頃になるとインプットの終わりが見えてきて、徐々にテストの頻度が高まってきます。この頃から次の問題集のどちらかを始めましょう。通常の勉強に加え、土日祝日は次の問題を1日1~2問解くようにします。

どちらの問題集も15問前後の問題から構成されていますので、4月初めから開始すれば本試験までに2周はできます。

ちなみに、この勉強は簿記論合格に直結する第3問の実力向上を目的としています。

簿記論の合格の鍵は「第3問の安定性」ですから、勉強量が増えて大変だとは思いますが、頑張って問題集を解きましょう。(もし第3問の大切さについて知りたい方は次の記事を参考にしてください。)

なお、目安としては全ての問題で7割以上8割以上ならなお良し)取れるようになれば完成です。

2冊買うべき?

時間にかなり余裕がある場合(例えば簿記論のみの受験の場合や学生や専業の場合など)を除き、問題集は1冊で十分です。(1冊であれば大原のが良いと思います。)

なぜなら、多くの人が簿記論と財務諸表論のダブル受験だと思いますので、初学で2冊はオーバーワークになる可能性が高いためです。

なお、TACとスタディングに通っている場合は「大原の問題集」を、大原に通っているようであれば「TACの問題集」を購入することをお勧めします。他校の問題集を解くことで、新しい出題形式に対する適応力が養われます。

3. 直前期:5月以降の勉強方法

5月以降は「本格的な本試験対策を始める時期」です。

ただし、本試験対策は「試験員対策」をすることでも、「新しい論点を覚える」ことでもありません。

本試験対策とは2時間という時間制限の中で、自分なりの解き方を確立することです。

2時間という時間制限
本試験の魔物

本試験は魔物が住んでいると言いますが、皆さんはその魔物の正体は何だと思いますか?

私はこの魔物の正体は「年に1度しかないという緊張感」と「時間制限による緊張感」だと思います。

本試験は年に1度のため、勉強を一生懸命やってきた人ほど「絶対に落ちたくない!」という思い、緊張します。

2時間という時間制限があるため、早読みしたり、思い込みで読み込みをし、普段では絶対にしないようなミスをします。

この「年に1度しかない」という魔物はある意味対策しようがありません。むしろ勉強をした人ほどこの魔物が大きく見えるかもしれません。しかし、これはほぼ全ての受験生が同様に直面するため気にしてもしょうがないと思います。

一方「時間制限」という魔物は対策をすることができます。その対策は模擬試験や過去問を大切に受けることです。

そもそも各模擬試験でたった1度しか経験できないものが何か分かりますか?それは「問題を分析する時間」です。これが「時間制限」の魔物の正体でもあります。

模擬試験の1回目と2回目以降の決定的な違いはこの「分析時間の有無」です。この分析時間は「解く時間」と比べて圧倒的に短いですが、この分析時間の適否が合否の半分を決すると言っても過言ではありません

問題集を何度も、何度も解いても分析する能力は鍛えられません(むしろ分析力は落ちるかもしれません。)

ではどのように対策をするのか?

それは毎回の模擬試験を本試験さながらの緊張感で挑むことです。

では「本試験さながらの緊張感で挑むためにはどのようにするのか?」という更なる疑問が浮かびますが、その答えとしては、模擬試験をたった1回しか受けれない試験だと認識することです。

筆者は次のことをして対策をしましたので参考にしてください。

  1. 模擬試験の1~2週間前から模擬試験を実施する日時を決める
  2. ⇒ 例えば、5/12の9時からするなど事前に決めます。こうすることで何気なく問題を解くよりも随分と緊張をします。

  3. その日に向けて現状できる限りの仕上げをする
  4. ⇒ 例えば、試験3日前からは苦手論点だけ勉強をします。

  5. 前日または試験を受ける直前に「自分ノート」をしっかり復習する
  6. ⇒ ここでも自分ノートは活きます。

  7. 制限時間を厳守する
  8. ⇒ これを厳守しない場合は本試験の緊張感を疑似体験できません。

  9. 制限時間を5分短くする
  10. ⇒ これをすることで制限時間のきつさを体感できます。ただし、10分以上短くするのはあまり意味がないのでお勧めしません。なお、全国公開模試などは普通に受けて自分の実力を知りましょう。

  11. 全部解こうとしない
  12. ⇒ これぞ本試験に必要な思考です。個人的にはこれが一番大切だと思っています。模試は全部解こうとしがちです。全部解くことに慣れると、難問でも無駄に食らいつく癖が出ますし、取りどころの判断が下手になります。

なお「教室講義」のメリットは、毎回本試験のような環境で模試を受験できるので、そのような環境を求める人は「教室講義」を選択肢として持つのも良いでしょう。

自分なりの解き方の確立

本試験対策のもう1つの柱は「自分なりの解き方の確立」です。これは受験テクニックとも大きく関係をする部分ですので、下記の記事を参考にしてください。

なお、自分なりの解き方の例を列挙すれば、次のようなものがあります。

  • 第1問・第2問・第3問の解答順序
  • 各大問にかける時間(かけて良い最大の時間)
  • 時間がかかりやすい問題の分析
  • 時間をかけた割に得点が伸びない問題の分析
  • 計算用紙の使い方
  • 分析時間や素読みの時間に充てる時間

例えば私の場合は、最終的に本試験に向けて次のような考え方を軸に、自分なりの解き方を確立しました。

  • 第3問から解いた方が得点が安定する
  • 第3問は最大で70分までかけても第1問、第2問は致命傷を負わない
  • 逆に第1問(または第2問)から始めると第3問で致命傷を負うことがある
  • 第1問や第2問は時間は掛かるけど、解けそうな問題があり切り辛い
  • 推計問題は時間がかかる割に点数が伸びない
  • 連結会計は短時間で終わり、高得点が期待できる
  • 特殊商品販売は簡単なものとハマるものとが区別付きにくい
  • 計算用紙の使い方として、T勘定側は第3問だけで使い、第1問と第2問は極力計算用紙は使わず、問題用紙に直接書き込む
  • 第3問の素読み+計算用紙への転記に15分~20分かけても大丈夫

このように、自分なりの解き方を確立すると、解く問題の順番に迷うこともなく、各設問の「捨て問の判断」などもスムーズにできるようになり、ミスが少なくなります。

自分の解き方が確立すればするほど、得点は安定し、不測の事態にも強くなります。

最後に

簿記論はパズル的な要素があり、運が左右するような科目に思えるかもしれませんが、直前模試で上位10%以内(できれば5%以内)に安定して入れるようになると、「何度やっても合格できる」というような自信が出てきます。

少なくとも「消費税」や「固定資産税」のように1ミスが1発アウトに繋がるようなシビアな科目ではありません。本試験までにしっかりと対策をし、自分なりの解き方を確立すれば9割以上合格することができると思います。

特に直前模試で上位5%以内に入れるようになると、本試験で多少ミスをしても余裕で「合格確実ライン」を超えてきます。

色々な意見はありますが、税理士試験は「努力が報われる試験」だと思います。

試験終了の声があるまで諦めない」。これが簿記論合格(税理士試験合格)に最も必要なことだと最後にお伝えして終わります。

合格する考え方 経験者の勉強方法 初学者の勉強方法 受験テクニック 解答用紙の使い方