簿記論を確実に合格するための受験テクニック

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簿記論は税理士試験の中でも本試験対策が有効な科目です。

この記事では「手を付ける問題の順序」や「捨て問の判断の仕方」などの受験テクニックを紹介しています。なお、本試験対策として「計算用紙の使い方」も簿記論では重要な受験テクニックの1つですが、文章量が多いため別の記事で紹介をしています。

– 目次 –
  1. 手を付ける問題の順序
  2. 捨て問の判断の仕方
  3. 転記ミス・イージーミス防止

手を付ける問題の順序

簿記論は計算問題だけで構成されていますが「解答順序」を考える必要があります。細かく言えば解答順序にも色々とあると思いますが、ざっくりと言えば次の2択になります。

  • 第1問 or 第2問 → 第3問
  • 第3問 → 第1問 or 第2問(筆者採用)

どちらを選ぶかはその人の戦略次第ですが、私は後者を推しています。なぜなら、その方が①得点が安定し、②その得点も伸ばしやすいからです。

① 得点が安定する

一般的に、第1問・第2問には解けそうで解けない問題、いわゆる「ハマり問題」が出題される傾向にあります。ハマり問題以外にも「一部未学習論点」や「集計量が多すぎる問題」なども出題されます。

これらの問題に共通するのは、時間をかけた割に、あまり得点が稼げないというものです。

一見して「捨て問」と判断できれば話は早いのですが、これらの問題が厄介なのは、その判断が難しいところにあります。初めは解けそうと思って解き始めたのに、なかなか解き切れず、時間だけが経過し、最終的に他の問題を解くための時間が不足してしまう、なんてことが起こります。

一方、第3問は情報取集力と集計力を問う問題であるため、各設問の難易度自体はあまり高くありません。したがって、パターン問題をマスターしていれば得点を重ねやすいという特徴があります。特に現金や固定資産、投資有価証券、退職給付引当金、賞与引当金などは読み込むべき資料も1つの箇所にまとめられていることが多いため、安定して得点をすることができます。

②得点が伸びる

第3問から解く事を勧めるもう1つの理由は「第3問の得点は時間をかけないと伸びないから」です。

次のグラフは第3問の解答時間と得点との関係を表したものですが、解答時間の後半に得点が急激に伸びている時間帯があることが分かります。

第3問の解答時間と得点@簿記論

第3問はいわゆる総合問題が出題されますが、受取手形や為替差損益、繰延税金資産などの勘定科目は、関連情報が問題用紙の複数のページで与えられることがほとんどのため、正解にたどり着くためには一通り問題を解き切る必要があります

また、比較的単純な現金や固定資産、投資有価証券などについても、例えば「期中に建物を取得していたが、支出額を仮払金として処理していたのみである。」とあれば、仮払金に関する事項を読む必要があるし、「期中で子会社Sを吸収合併したが、未処理である。」とあれば、子会社Sが有する勘定有高も足す必要があるなど、問題文を一通り読むことが求められます

もちろん、集計量の多い売掛金や買掛金、為替差損益、法人税等調整額などは捨て問になる可能性が高いため、必ずしも解く必要はありません(むしろ解かないことの方が多いかもしれません)が、解けた場合は数珠つなぎで正解になる項目でもあるため、得点が伸びます。

したがって、得点を伸ばすには第3問にある程度時間をかける必要があります。(問題によっては、集計量が多い項目と思われている未払消費税等なども一瞬で解けるときもありますので、即捨ては危険です。)

第1問や第2問の「分からない論点」に時間を使っても得点は伸びませんが、集計量が多い第3問の場合は、パターン問題に慣れれば意外と点数が伸びるため、不本意に時間切れとならないように、1番初めに解く事をお勧めします。

第69回本試験・第3問は易化する?

過去を見返すと、第3問は1年ごとに難易度が「難→易→難→易」のように交互に変わる傾向にあります。

2018年(第68回)の第3問は近年稀にみる難易度の高い問題であったため、2019年(第69回)の第3問は難易度の易化が予想されます。

もし得点争いになった場合には第3問の出来が物を言いますので、第3問から解き初める戦略はかなり有効になると思います。

捨て問の判断の仕方

捨て問(または強弱)の判断には「小問単位」の判断と「設問単位」の判断の2つがありますので、以下にそれぞれについて解説をします。

1. 小問単位での捨て問の判断

小問とは、平成30年(第68回)で言えば、第1問の「一般商品売買」や「本支店会計」、第2問で言えば「割賦販売」「転換社債型新株予約権付社債」「減損会計」の設問グループを指します。

小問については、できるだけ全て解いた方が良いのですが、時間との兼ね合いから、全ての小問をしっかり解くことはできません。したがって、小問単位ごとに優先順位を付けて解いていく必要があります。この優先順位の付け方の指針としては次のものがあります。

優先的に解く論点の特徴
  • 分量が少ない論点
  • 問題が1ページのものから優先的に解きます。問題文の情報量が少ないほど早く解けることが多く、また解けないと判断することも早いためです。

  • 得意な論点
  • 得意な論点は早く解けるため優先的に解きます。ただし、得意な論点は深追いしやすいため、見切る時間を決めて解き始めましょう。

  • パターン問題が多い論点
  • 連結会計や企業結合などはパターン問題ですので、短時間で解けるうえ高得点が期待できます。ひねってきたらそれは捨て問ですので見切りも早くできます。

優先順位を下げた方が良い論点の特徴
  • ハマりやすい問題
  • 特殊商品売買はハマり易い論点の代表格です。簡単な問題もあるため、即切りはせず、10分だけ、15分だけと決めて解きます。

  • 推計問題
  • 推計問題は時間がかかる割に、得点が伸びません。取れそうなところだけを解けば十分です。

  • 苦手意識のある問題
  • そもそも苦手論点は作らないことが大切ですが、もし苦手意識のある問題があれば手出しは最後に。苦手論点は得点は絶対伸びませんし、時間がかかります。

2. 設問単位での捨て問の判断

設問単位の捨て問の判断は簡単です。1読して理解できなかったら即捨てます。(重要)

なぜなら、1読してよく分からなかったものは、何度読んでも分からないからです。ここで勇気を持って捨てれるどうかが勝負の分かれ目です。

「なんて書いてあったっかな?」みたいなとき以外は絶対に2度読んではいけません。だからこそ、問題文は流し読みせず、しっかりと読む必要があります。問題文は1読目で決まると思って集中力マックスで読んでください

なお、時間が余って戻ってきたときのために、目印として次のようなマークをしておくと良いでしょう。

  • ◎:解ける可能性がある
  • 〇:部分点はかせげるかも
  • △:未学習論点など

この「1読して分からなければ捨てる」という行動は一朝一夕ではできません。人は解けそうな問題の場合はどうしても解きたくなってしまう動物だからです。

直前期(5月以降)の模擬試験の時から意識的にしていると、本試験でもできるようになりますので、模擬試験を上手に利用しましょう。

第3問における「勘定科目」の捨て方

当たり前の話ですが、第3問の勘定科目は全部解く必要はありません。時間のかかる勘定科目、難易度の高い仕訳が複数回関係する勘定科目などは自分なりの切り捨てルールを決めておくと良いです。

例えば私は次の勘定科目について「捨てるルール」を決めていました。

  • 未払法人税等、法人税等:逆算で求めるようなモノであれば即捨て
  • 前TBの貸借差額で解く勘定科目(資本金や土地などが多い)は即捨て
  • 繰延税金資産:4つ以上関係したら捨てる
  • 未払消費税等:問題文に(税込)または(税抜)が4つ以上あれば捨てる
  • 買掛金・売掛金:資料が複雑そうなら捨てる
  • 仕入:資料が複雑そうなら捨てる

転記ミス・イージーミス防止

①その数値はいつ時点のもの?

問題文で与えられた数字や解答で記載する数字はいつ時点のものか?を最初に必ず確認する癖をつけましょう

これはとても単純な作業ですが、非常に重要です。時点を見落とした場合は、小問が全滅する可能性すらあります。

問題文では前TBのデータが与えられることが多いですが、問題によっては期首データだったり、後TBデータだったり、ということもありますので、思い込みをせず、ここは絶対に確認しましょう。

②数字?勘定名?記号?

最近の試験は数字や勘定科目以外にも、記号を回答させる問題が出題されています。平成30年の本試験では、勘定科目をわざわざ記号で問う問題もあったほどです。

せっかく内容が合っていても、ここが間違うと点数はきません。いつもと違う内容(例えば記号)であれば、解答用紙や問題用紙に「記号で記載!」などとあえて赤ペンで書くのも良いでしょう。

数字は丁寧、解答欄の中に書く

成績が良くて落ちる人の特徴に「字が汚い人」というのは有名です。特に0と6、0と9、1と4は焦って書くと、どっちがどっちか分かりません。

他の国家資格で採点している方に直接聞いた話ですが、グレーは黒とみなすようです。落とす試験ですので、どっちか分からないものに対して配点は絶対こないと心得ましょう。

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