消費税法の合格率をUPさせるための考え方

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消費税法は、ミニ税法の筆頭格で、学習量が法人税法や所得税法、相続税法などと比べてかなり少ないため、4ヶ月~半年といった短期間で合格者予備軍(合格する可能性ある集団)に入れます。

そのため、税法科目では一番の人気科目であり、受験者数も毎年1万人前後と、簿記論と財務諸表論に次ぐ科目となっています。

では消費税法は簡単に合格できるのか?と言われると、実はそうでもありません。

例えば、下記の表は合格までにかかった年数を知り合いやブログを通じて集計したものですが、1年で合格をしている人の割合は2割を切ります

1年 2年 3年 4年以上
合格済 3人
(19%)
6人
(38%)
7人
(44%)
0人
奮闘中 5人 4人 1人

ちなみに私も、消費税法は合格までに2年かかっています。

このように、消費税法はボリュームが少ない割に、1発合格はなかなか難しいといった癖のある科目なのです。

そんな癖のある消費税法の合格可能性を極限まで高めたいと思う人に向けて、合格率をUPさせるための考え方をお伝えしたいと思います。

– 合格率をUPさせる6つの考え方 –
  1. 計算は失敗すると不合格フラグ
  2. 本当の計算力を付ける
  3. 自分なりの解き方を確立する
  4. 理論の実力が税法の実力
  5. 理論は理解をベースに、端的に!
  6. ミニ税法だからと言ってナメない

計算は失敗すると不合格フラグ

まず初めは「計算の重要性」について。消費税法も例にもれず、他の税法科目と同様に計算の出来が悪いと、残念ながらまず落ちます

よく税法は「理論で決まる」と言う人がいますが、あれはです。結局のところ、税法で重要なのは「理論計算両輪がまわること」なのです。

ただ、「理論」と「計算」とでは互いが持つ本試験での性格が違います。

理論は、一言で言えば「守りの戦い」が必要になります。下の方でも書いていますが、予備校通りの論証をしても40点前後くらいにしかならない(得点が希釈されるため、ビハインドを取らない戦略が必要となります。

これに対して、計算は「攻めの戦い」が必要です。なぜなら、計算は満点配点がありえるからです。

だからこそ、本試験では理論の出来より、計算の出来の方が合否に直結するのです。

例えば、ボーダー付近の人で、理論はできたけど、計算はできなかったって人は、結構落ちます。合格率で言えば10%~20%位でしょうか。

逆に、理論はできなかったけど、計算はできたって人は、結構合格をしています。こちらも合格率で言えば60%~70%位だと思います。

これは、自分の経験的にも、周りを見渡しても、確実にそうだと言い切れるくらい確かなものです。

そこで、次からは「計算の重要性」をもう少し掘り下げて説明をします。

理由その1:計算も成績上位者と中位者との間には大きな差がある

インターネット上の記事を見ていると、消費税法の計算は簡単だから、ある程度勉強が進むと差がつかないと言う人がいます。でもそれは勘違いです。

論より証拠。次の表を見てください。この表は「大原」の模試における、計算の上位10%、30%、50%の人達の点数です。

模試 10% 30% 50%
実判① 48点 ←2→ 46点 ←2→ 44点
実判② 45点 4 41点 4 37点
実判③ 44点 5 39点 3 36点
直対① 42点 5 37点 3 34点
直対② 42点 5 37点 4 33点
全統 37点 5 32点 5 27点
直予① 41点 6 35点 4 31点

この表の上位〇%の実力は、だいたい下記の通りです。

  • 上位10%・・・本試験の合格確実ラインのレベル
  • 上位30%・・・本試験のボーダーラインのレベル
  • 上位50%・・・本試験では50~55点位で不合格のレベル

分かりますか?差が付かないと言われる計算も、上位10%と上位30%との間には毎回5点差以上の差が開き、上位30%と上位50%との間にも毎回3点から5点の差が開いているのです。

また、その差は、直前期の模試に近づけば近づくほど明確になってくるのです。

これは、直前期(直前対策模試以降)の頃になると、問題も難しく、ボリュームが多くなるため、本当の実力差が点数に反映されやすいためです。

これだけ見ても、計算の実力をしっかり付けることが、合格可能性を高めることに重要だということが分かると思います。

理由その2:本試験で理論は点数になりにくい

計算が重要なことの2つ目の理由は、上でも触れましたが、計算は得点に繋がりやすく(50点満点も有り得る)、一方で理論は得点に繋がりにくい(50点満点は出ない)というものです。

この理論が得点に繋がりにくいというのは、主に次の4つが理由です。

  • ① 予備校の理論集は条文を要約している
  • ② 予備校の模範解答は満点解答ではない
  • ③ 理論の満点解答は採点者によって違う
  • ④ 理解を採点者に伝えるのは難しい

以下にそれぞれについて説明をします。

① 予備校の理論集は条文を要約している

条文を読んだことがある人は分かると思いますが、予備校の理論集は、試験時間内に合格答案を作成できるように、条文を要約しています。

したがって、仮に条文をそのまま書くような問題が出題され、予備校の理論集通りに書いたとしても、満点配点される可能性は低いでしょう。

特に大原の理論集は条文をかなり省略しているので、「○○の条文を列挙せよ」といった条文をそのまま書くような問題にはやや弱いでしょう。

② 予備校の模範解答は満点解答ではない

基本的に予備校の模範解答は、予備校の理論集をベース」としたパターン解答です。

一方、本試験の採点者は実務家であるため、設問に応じた端的で、説明十分な解答を求めているはずです。つまり、タックスアンサーや質疑応答事例にあるような解答内容です。

したがって、予備校の理論集に基づく「パターン解答」では、多くの場合知識の列挙のような解答になってしまうため、採点者に理解を伝えることは難しく、点数は低くなってしまう可能性が高いのです。

③ 理論の満点解答は採点者によって違う

これが個人的には予備校の模範解答が満点になり得ないと思う1番の理由です。

例えば、令和元年の本試験の第一問・問1・(2)では、大原では「具体例の列挙」を模範解答としていますが、TACでは「具体例を1つ提示し、留意点として条文の内容を記載」することを模範解答としています。(ちなみに、個人的には、TACの解答が解答趣旨に沿っていると思っています。)

このように、理論の満点解答というのは、予備校の講師によっても違うように、採点者によって異なるということなのです。

④ 理解を採点者に伝えるのは難しい

最後は、理解を採点者に伝えるのは難しいというものです。

例えば字が汚い人は落ちやすいという話をよく聞きますが、これは字が汚いと何が書かれているのか分からない理解が伝わらないというのが原因です。

予備校の場合は、商売ですから、字が汚くとも、一生懸命読んでくれますし、多少文章がおかしくとも、予備校の理論集通りに記述してくれば配点してくれます。

一方、本試験では、採点者は予備校の理論集など知りませんし、文章を読み込む努力もしないでしょうから、解答用紙から理解が伝わってこなければ、全く得点に繋がらないはずです。

また、そもそも理解を他人に伝えるというのはなかなか難しく、100%理解している内容であっても、相手にそれが伝わるかと言われたら、必ずしもそうではありません。

以上を理由として、本試験では、予備校の模試のように、理論が満点になることはまずないと思っています。そのため、理論が良くできたと思っていても、計算ができていなければ不合格になりやすいということになるのです。

本当の計算力を付ける

計算の重要性をお伝えしたところで、次は「本当の計算力」についてお話をします。

私が思う本当の計算力とは、次の3点を充足する人を指します。

  • ① 多様な言い回しに強い
  • ② 様々な取り扱いを知っている
  • ③ 丁寧な読み取りができ、ミスが少ない

では、一つずつ説明をしていきましょう。

① 多様な言い回しに強い

まず1つ目が「言い回しに強い」です。

例えば、次の2つの例文の取引分類が何かぱっと言えますか?

P/L  雑種入  100,000円

例1:雑収入は入居者が期日までに退去しなかったため、賃料の3倍に相当する金額を違約金として徴収したものである。

例2:雑収入のうち50,000円は、入居者の明け渡し遅滞に基づき徴収したものである。

単純な例ですが、例1と例2は両方とも「資産の譲渡等」に該当しますが、試験で出題した場合には、例1はほとんどの人が正当してきますが、例2は1~2割の人が間違えます。

これは、例1の書きっぷりが、国税庁HPの質疑応答事例(参考:違約入居者から受け取る割増賃貸料-国税庁HPにある文章表現のそのままであり、どの予備校もその書きっぷりを写経していて、多くの人が例1の文章表現に慣れているためです。

一方、例2はなじみが薄い表現のため、初めて見た人は「不課税取引?」と迷ってしまい、間違えてしまうのです。

これは、言い回しに弱いから間違えてしまう典型的な例ですが、このように、言い回しに弱い人は、取引分類を知っているのに間違えてしまうのです。

したがって、言い回しに「慣れる=強くなる」ことで、本当の計算力の向上に繋がるということになるわけです。

② 様々な取り扱いを知っている

2つ目は、同じような取引につき「様々な取り扱いを知っている」ことです。

例えば、駐車場の貸付けが課税取引というのは、消費税法の受験生であれば、誰もが知っているような取引分類の知識です。

ですが、車の所有の有無に関わらず、1戸当たり1区画の駐車場が割り当てられ、「共益費」という名目で徴収をされているような場合は、その共益費は非課税取引に分類されます。

また、1戸当たり1区画の駐車場が貸し出されている場合であっても、名目が「駐車場利用料」であれば、その駐車場利用料は課税取引となります。

このように、前提や名目等が異なると取り扱いが異なるといった取引がままありますので、これらをしっかり区別して覚えていることが重要になります。

③ 丁寧な読み取りができ、ミスが少ない

3つ目はかなり基本的なことですが「丁寧な読み取りができ、ミスが少ない」というものです。

例えば、課税仕入れについて、問題文に「内訳は次の通りである」と書かれてあれば、順次、課税仕入れに係る金額を答案用紙に転記します。

一方、文末に「これら以外は全て課税仕入れに該当する。」と書いてあれば、控除方式で課税仕入れの金額を記載します。

単純な例ですが、問題文を早合点せず、丁寧に読み込める人はこのような出題形式の違いになんら影響を受けることはありません。

ちなみに、計算で高得点を安定的に取る人は恐ろしくケアレスミスが少ないという特徴があります。それは読み取りが丁寧のため、凡ミスが無いためです。

なお、ここで1つお伝えしておくと、ケアレスミスはたまたま発生するものではありません。実力が無いからケアレスミスが発生するのです。

なぜなら、実力が無いと落ち着いて解けず、無駄に早く解こうとするので焦ってしまい、結果としてケアレスミスが誘発されてしまうのです。

また、解答速度を上げるために読むスピードを上げたり、電卓を早くたたいたり、挙句の果てには問題文を斜め読みする人がいますが、それは大きな間違いです。

解答スピードというものは上げるものではなく、自然に上がるものなのです。

解くスピードを上げるのではなく、迷う時間を減らすことが、結果的に解答スピードを上げることに繋がり、ひいてはケアレスミスを減らし、高得点を安定化させるのです。

上記の通り、本当の計算力というのは、教科書にある取引分類を覚えたり、同じ問題集を繰り返しやり続けることで強化されるものではありません。

取引分類を覚え、多様な言い回しに慣れ、一の取引に対する複数の取り扱いを覚え、それを迷うことなく判定でき、さらに、丁寧な文章の読み込みができる人になって、ようやく本当の計算力のある人になれるのです。

自分なりの解き方を確立する

3つ目はテクニカルな話ですが、この点は次の記事を参考にしてもらうと良いと思います。

消費税法の計算の解き方

肝の部分だけお話すると、自分にとっての最善の解き方を模索し、それに慣れることが重要です。

したがって、遅くとも本試験の2週間前くらいまでには、自分なりの最善手を確立しておきましょう。

理論の実力が税法の実力

成績上位者がなぜ合格し易いかと言えば「理論が安定しているから」です。

本試験の計算問題は、なかなか癖があり、年度によっては問題文に明らかな不備があるため、正確な知識を持っていたとしても、ミスをし、それが致命的なミスに繋がります。

平成29年の本試験問題はまさにそんな問題だったと思います。

一方、計算とは異なり、理論は実力が結果に反映されやすいのが特徴です。というより、理論問題は成績下位者が上位者を逆転する現象がまず起きません。

なぜなら、暗記の精度は解答速度に直結しますし、理論の深い理解は、柱漏れや論点ズレを防ぐため、成績上位者が下位者に負けることが起こりえないからです。加えて、理論の完成度が上がると、未知の計算問題に対しても応用が効くという副次的効果さえあります。

したがって、直前期の問題や大原の市販問題集で毎回45点付近の点数を取れるようになってきたら、後は理論の実力を上げるだけです。

とは言え、消費税法の理論も年々ボリュームが増えつつあり、1ヶ月で完璧に暗記し、理解をするのはまず無理です。

遅くとも、本試験の3ヵ月くらい前からは、暗記1日1時間、ドクターなどの理解1日1~2時間は費やし、理論の暗記と理解を深めましょう。

なお、時間的に余裕のある人は、最近のタックスアンサーや質疑応答事例を毎日30分~1時間くらいじっくり読み込むことをお勧めします。これをすることで、理論の安定感がかなり増します。

理論は理解をベースに、端的に!

重ね重ね言いますが、理論の満点解答は多分ありません。現実として、本試験の理論問題の満点は40点くらいでしょう。

したがって、本試験の理論問題では、①できるだけ時間を使わず、かつ、②出題者が一番聞きたい内容を端的に解答をすること、に終始します。

例えば、事例問題では、

  • ① 課税対象取引 or 不課税取引
  • ② 非課税取引?
  • ③ 免税取引?
  • ④ 課税標準や課税売上割合を構成する?
  • ⑤ 課税仕入れの対象?課のみ?非のみ?

といったことを脳裏に巡らせますが、それをそのまま書いてはいけません

なぜなら、解答時間が限られている場合はタイムオーバーになる可能性が高く、また、質問に対する解答がぼやけてしまうからです。

例えば「仮想通貨を国内の仮想通貨交換業者を通じて売却した。当該取引の消費税法上の取り扱いを述べよ。」といった問題に対しては、次のように解答をしていくのが良いでしょう。

解答例

仮想通貨の譲渡は「支払い手段その他これに類するものの譲渡」であるため、国内における非課税資産の譲渡等に該当し、消費税は課税されない。

どうですか?非常に短く感じませんか?

恐らく、このような書き方では予備校では、理論の点数が伸びません。なぜなら、上記の解答には「国内取引の判定」「課税売上割合への影響」などが書かれていないからです。

ですが、そんな予備校の採点は全く気にする必要はないでしょう。

なぜなら、この程度の内容でも十分に題意に沿った解答ですので、本試験でも5点中2~3点は得点が振られると思いますし、この位の文章量であれば2分もあれば書き切れますので、他の時間のかかる問題に時間を注力でき、結果として高得点に繋がるのです。

ここで重要なのは、国内取引の判定など無駄なことは書かないということです。それは時間が余ったときに「なお、○○が国内にあるため国内取引となり、課税の対象となるものである。」といったように書くのです。

何が言いたいのかと言うと、予備校の模擬試験は満点を取ることに意義がある試験となっていますが、本試験では満点を取る必要はありません。

本試験では合格をすることに意義があります。そして、合格をするための理論解答というのは、①論点ズレをせず、②時間を節約しながら、③題意に沿った内容に対するど真ん中の解答を書くことなのです。

重要なのは、上位集団から離されない守りの理論です。そのために、理論暗記の精度を向上させ、理論の理解を深めるのです。

ミニ税法だからと言ってナメない

合格率をUPさせる大切な考え方の最後は「ミニ税法だからと言ってナメない」ということです。個人的には、実はこれが一番重要なことだと思っています。

消費税法が2年、3年で合格をする人が多いということは、消費税法が到達型の科目、すなわち、ちゃんと勉強をすれば合格ができる科目であることの裏返しであると思っています。

消費税は確かに「法人税法」や「相続税法」に比べて、理論や計算パターンを覚える量が少ないです。法人税法の半分位のイメージです。

ですが、だからと言ってナメてはいけないのです。理論の量が少ないのなら、暗記はAランクとかCランクとか気にせず、完全暗記をしましょう。

計算も余裕ができたら、積極的に他流試合をし、言い回しに強くなりましょう。必ず1問位は知らなかった論点に出会えます。

難しい科目なんだと肝に銘じ、でもやれば合格できるんだと考え、上述の通り本当の計算力を身に付け、理論の力を向上させることで、合格可能性は必然的に高まるとお伝えしておきます。

絶対に諦めない!という強い気持ち

最後は臭い話で、理論的なものではありません。

ただ、難易度の高い試験ではこれがとても大切です。それは「何があっても最後まで諦めないという強い気持ち」です。

模試の成績が悪くても、本試験で焦ってしまっても、決して最後まで諦めてはいけません。

本試験では焦って「こりゃダメかな」と思うこともあるでしょう。その時は、簡単な計算を完璧にしましょう。

「理論が分からない!」と思ったら、3分考え、1~2行でさっと書きましょう。

全く知らない問題が出たら、出題者の出題意図を想像しながら、解答しましょう。

そうやってあがいてくることで、合格可能性が0%から10%に、50%から60%に上げていくことができるのです。

どこに何点の配点があるかなんて試験委員以外誰にも分からないのですから、今の自分の100%を出すことが、私たち受験生ができる精いっぱいの努力なのです。

試験勉強を始めるときに自分に誓った「絶対合格するんだ!」の気持ちを忘れないでください。努力は報われるようにできています😊

合格率UP 計算の解き方 勉強方法 私の税理士試験 独学と予備校