税理士・税務補助者の年収

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ここでは、税理士や税務補助者(いわゆる職員)年収についてお話をします。

税理士業界の現状

」または「」を対象とするかによっても差はありますが、税理士業界全体の見通しは曇りマークです。

一部の成功者を除けば開業税理士の現実は厳しく、開業をしても安定した売上げが立たず、勤務税理士に戻ったり、勤務税理士時代よりも年収が下がった、という話をよく聞きます。

勤務税理士の年収も500万円~800万円がボリュームゾーンであり、難関資格の割に決して高収入とは言えない状況となっています。

勤務税理士については、駆け出しで500万円、経験5年以上で700万円、経験10年以上のマネージャーで900万円前後といったところです。

では、難関資格のはずなのになぜ年収が低いのか?その答えは主に次の2つです。

1. 税務は差別化が図かりずらい

1つ目は、税務は差別化が図りずらいというものです。

例えば、公認会計士の独占業務である「監査業務」や不動産鑑定士の独占業務である「不動産鑑定業務」は、どの監査法人が監査をするのか?どの不動産鑑定業者が鑑定評価をするのか?により、報酬がかなり異なります

一方、税理士の独占業務である「申告業務」は、担当をする税理士法人の「」や「」によって報酬が異なることがほぼありません。そのため、一般的な申告業務が収入源の税理士業界は、構造的に価格競争に陥りやすいという特徴があります。

2. 需給関係が悪化している

2つ目は、税務の「供給(法人数)と「需要(税理士の数)関係が悪化しているからです。

基本的に、税理士業界の主たる収入源は「法人」を対象とした税務・会計業務ですが、この法人の数が、年々減少をしているにもかかわらず、税理士の数は増えているという状況にあります。

1999年には、税理士1人当たり約76社あった企業数が、2016年には約47社へと激減しています。たった17年の間に、税理士1人当たりの企業数は40%近く減少しているのです。

つまり、税理士業界の現状は「過当競争の真っただ中にある」ということなのです。

とは言え、近年の企業の好景気や国際化、企業買収、事業承継などのトレンドを背景に、税理士業界では売手市場が続いているのもまた事実です。

そこで、次からは、このような税理士業界の現状を踏まえつつ、税理士や税理士補助者の年収についてお話しをしていきます。

税理士業界の年収相場

税理士業界の年収は、年齢が全く関係なく、他業種からの転職の場合は、他業種の経験年数も関係がありません(ただし、年齢と他業種での経験は、採用に大きく関係します。)

税理士や税務補助者の年収は、事業所の規模、所属する税理士事務所が得意とする税務業務の別、資格や経験の有無などによって変わります。

そこで、次からは年収に大きく影響をする5つのポイント・観点から、税理士や税務補助者の年収についてお話をします。

  1. 事務所規模
  2. 税務業務の種類
  3. 資格者と科目合格者
  4. 経験者と未経験者
  5. 開業税理士と勤務税理士

1. 事務所規模

まずは統計情報を下表に示します。出典元は「賃金構造基本統計調査」です。

事業規模 10人以上 100人以上 1000人以上
平均年齢 43.9歳 38.3歳 40.3歳
月給 413,700円 431,500円 788,200円
年間賞与 2.8ヶ月分 2.9ヶ月 3.6ヶ月
年収 607万円 813万円 1,200万円

上表の通り、税理士の年収は「事務所の規模」によって大きく変わります。特に従業員が1,000人以上の「BIG4」か「それ以外」かで大きく年収は異なります。

例えば、BIG4の給与水準は、いわゆる「アソシエイト」と呼ばれる税務補助者で年収が500万円、税理士登録するとなれる「シニアアソシエイト」で700万円~900万円、部課長クラスの「マネージャー」になると1,000万円~1,200万円、取締役クラスの「パートナー」になると1,500万円~数千万円といった水準になります。

一方、従業員が100人~300人くらいの中規模クラスの事務所になると、「アソシエイト」で200万円~400万円、「シニアアソシエイト」で500万円~700万円、「マネージャー」になると700万円~1,000万円といった水準になります。

さらに、規模の小さな小規模の事務所や個人事務所になると、補助者はパート的な取り扱いとなり、年収で200万円前後、勤務税理士で500万円~600万円といった水準になります。

したがって、高所得を求めるならば、規模の大きな事務所への入所が必要となります。

2. 税務業務の種類

税理士業界の特徴として、税務業務の種類(対象とする顧客や税目、業務内容)によって、所属する税理士や税務補助者の年収に開きが出ます。イメージとしては、下記通りです。

  • 大小企業を対象とした税務・コンサルティング業務
    → ほとんどがBIG4で、年収は高くなる傾向にある
  • 中小企業を対象とした顧問業務や決算業務
    → 中小規模の税理士法人のメイン業務であり、年収は低くなる傾向にある
  • 組織再編、事業承継、国際税務、移転価格
    → BIG4又は特化型の中小税理士法人に多く、年収は高くなる傾向にある
  • 個人を対象とした一般的な確定申告業務
    → 個人事務所に多く、年収はかなり低くなる傾向にある
  • 個人の富裕層を対象とした資産税業務
    → 特化型の中小規模の税理士法人に多く、年収は高くなる傾向にある

(1) 一般的な税務業務

基本的に法人や個人に対する一般的な税務業務(税務顧問や確定申告業務)は「手続き業務」のため、誰がやっても同じです。

業務の差別化が図りにくく、価格競争が起こりやすいため、このカテゴリーに属する税理士事務所の税理士や税務補助者の年収は総じて低くなります

悲しいのは、年収が低いのに、業務は激務という過酷さがあります。新規参入も難しいため、経営センスや親などのレガシーが無ければ、開業をしても厳しいでしょう。

なお、このカテゴリーで差別化を図れるのは、基本的に「グレーゾーン」の取り扱いくらいですが、これは、国税OBの「専売特許」なので、一般人がこのカテゴリーで成功するのは無理です。

(2) 法人相手で儲かる業務

法人相手で儲かる業務は、国際税務、組織再編、FAS、事業承継などですが、これらは税務知識だけでは足りず、試験合格者がおいそれと参入することができません。

例えば、国際税務はBIG4が得意ですし、参入するためには英語力は必須でしょう。組織再編については、会計知識が豊富な公認会計士上がりの税理士に軍配が上がるでしょう。

FASや事業承継では、税務知識に加え、法務や不動産に関する知識や経験が必要となってきます。

ただし、これらに通ずる知識や経験があれば、この分野に特化した事務所は年収も高いので、お勧めです。

(3) 個人相手で儲かる業務

個人相手で儲かる業務は、富裕層相手の税務コンサルティングまたは資産税です。

基本的に、資産総額100億円超の超富裕層は、メガバンクが囲っていますので、そことつながりのあるBIG4には一日の長があります。

また、資産総額が5億円から30億円くらいまでの資産家については、山田&パートナーズ、レガシー、チェスターなどの資産税特化型の税理士事務所がマジョリティーを形成しています。

なお、この分野の税理士法人の年収帯は、一般的な税務申告業務をしているところと比べて、100万円~200万円ほど高い傾向にあります。

3. 資格者と科目合格者

資格業は概ねどこでもそうですが、基本的に「資格者」と「資格者」とでは、給与水準に大きな差があります。

税理士になれば、最低でも550万円くらいの水準はコミットされていると思いますが、無資格者でこの水準に入るのは、なかなか難しいでしょう。

無資格者で年収が500万円を超えるのは、中規模以上の税理士法人で、税務の実務経験が5年以上の人や税理士試験の科目を4科目以上合格している人、他の高難度資格を有している人くらいでしょう。

なお、税理士試験の「科目合格数」に応じて、給与水準が変わるということろもママあります。例えば、1科目につき30~50万円の上乗せがあったりと言った感じです。

4. 経験者と未経験者

税理士業界では、経験者と未経験者とでは「採用」に大きな差があります。実務経験が1年でもあれば、未経験者と比較して圧倒的に転職で有利です。

もし実務経験が5年以上あれば、引き手数多の状態であり、職に困ることは無いと言って良いでしょう。

ただし、実務経験が長くてもあまり給与は変わらないという現実もあります。

そもそもサービス業では、年収の2倍相当の稼ぎが合って経費とトントン、年収の3倍で年収分の利益があがる、といった感じです。

そして、前述の通り、税理士業界は価格競争が起こりやすいので、利益率が低く、職員の給与を抑えて、上澄み分を吸収しないと、年収が上がらないという構造にあるため、税理士業界は、所長や社員(株式会社の取締役に相当する人)によるピンハネが横行しています

そのため、税理士資格を持っていない場合は、ある意味したから見られてしまうため、給与を低く抑えられやすい環境にあると言えるのです。

5. 開業税理士と勤務税理士

最近の税理士業界のトレンドは「勤務税理士」です。なぜなら、開業しても年収200万円~600万円程度の開業税理士が多いからです。

また、以前にも増して、税理士の異業種からの需要が増えているためです。

例えば、ここ10年ほどの間に「事業承継」が盛り上がってきていますが、当該事業は、税理士法人の独占業務ではないため、異業種からの新規参入も多く、そのような企業が税理士を積極的に採用をしています。実際に、税理士業界の給与水準よりだいぶ高く設定していることろもあります。

とは言え、やはり、税理士業界も手続き型業務とは言えども、経営センスがある人は、猛烈に儲かっています。成功している税理士で言えば、年収3,000万円~5,000万円はざらです。

したがって、経営に自信がある人、自分なりの個性を発揮できる人、自分の頭で考えることが出来る人などは、開業を目指しても十分に成功する余地はあると言えます。

最後に

最近の税理士業界では、税理士の高齢化のため、個人事務所の税理士が顧客付で事務所ごと売却をするような動きが出てきています。

売却をする税理士としては、顧客を次の後継者(売却先)に引き継ぐことができ、また、実質的な退職金を手に入れることができるため、とても都合が良いスキームです。

したがって、今後もこの流れは続くことが予想され、豊富な資金を持つ税理士法人による寡占化が増々エスカレートし、個人の税理士事務所は苦境に立たされることが予想されます。

勤務税理士になることが目標なのか?開業税理士になることが目標なのか?これをはっきりしておくことが大切なんではないかと私は思います。

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収