税理士試験における独学・予備校の選び方

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収

ここでは税理士試験の勉強方法として「独学」と「予備校」についてお話をします。

税理士講座を取り扱っている予備校はいくつかありますが、予備校ごとに受講料講義レベル対応科目などが異なりますので、それぞれの科目につきオススメの予備校をご紹介します。

なお、税理士試験については、個人的に独学でも対応ができる科目もあると思いますので、独学の可否なども合わせてお伝えします。

目次

科目ごとの勉強スタイル(独学・予備校)

1. 簿記論・財務諸表論

独学 TAC 大原 LEC 通勤 ネット
初学者
経験者

● 初学者

最近まで、初学者の場合はTAC大原の2択だと思っていましたが、スタディングのテキストを見る機会があったこともあり、今はオススメは断然「スタディング」だと思っています。

理由は、圧倒的に安い受講料6万円弱)の割に、講義は分かりやすく、初学者でも十分に基礎をマスターできると思っているからです。

また、インプット時はいかに「効率良く」かつ「モチベーションを維持しつつ」学習ができるかが重要ですが、スタディングの受講生サイトはとても使いやすく、そこに魅力があります。

ただし、問題集の量が大手と比べると圧倒的に少ないので、市販の問題集を購入したり、大手の直前対策パックを購入した方が良いと思います。

ここら辺は下記の記事で詳しく書いていますので、興味のある方はご覧ください。

● 経験者

経験者や簿記1級(または全経上級)の合格者の場合は、「独学+予備校」がお勧めです。

なお、簿記の勉強方法や計算用紙の使い方などについては、下記の記事で詳しく取り扱っていますので参考にしてください。

2. 法人税法

独学 TAC 大原 LEC 通勤 ネット
初学者 × ×
経験者

法人税法については、初学者の場合はTACが1番だと思いますが、勉強時間をあまり確保できないような人の場合は、大原を選択するのが良いと思います。(TACは覚える量が多いためです。)

なお、個人的には、法人税法は「TAC」と「大原」以外の選択はお勧めしません。なぜなら、法人税法は税制改正の頻度が高く、また、学習ボリュームも多いため、予備校に受験対策を任せるのが無難だからです。(税理士試験の法人税法を対策したようなサイトは無いので、独学はそもそも不向きです。)

その上、大手予備校は受験生のレベルを把握できているため、最適な勉強方法を提示してくれますが、その他の予備校ではそれができないため、無駄な知識を詰め込む可能性が高く、逆に、大手予備校の受験生のほとんどがマークをしているような論点を外す可能性もあるなど、大手予備校を選択しないデメリットが多いためです。

※ 経験者で勉強が進んでいる人の場合は、既にある程度の知識があると思いますので、国税庁HPの基本通達や質疑応答事例を見て、予備校では取り扱っていない論点を学習して、他の人と実力差をつけるのも手です。

学習時に参考になるサイト

3. 消費税

独学 TAC 大原 LEC 通勤 ネット
初学者
経験者

消費税については、科目習得の難易度自体がそこまで高くないため、どの予備校を利用しても合格レベルに達すると思います。自分で勉強をする習慣のある人であればTACの「独学道場」など、独学という選択もありです。

なお、経験者の場合は「独学+予備校」がお勧めですが、自分で税制改正を追いかけるのもそこまで大変ではないため、独学一本も可能な科目です。

各予備校の特徴としては、理論は理解のし易さ(覚えやすさ)の観点からTACに軍配が上がりますが、計算は大原の計算方法の方が時間効率の観点から大原に軍配が上がります。

計算方法は、TACが条文に基づいた厳密な計算パターンであるのに対し、大原は簡略化した計算パターンを採用しています。

本来は厳密な計算方法の方が良いのだと思いますが、合格実績を見る限り、いずれを採用しても問題がないようです。

とすれば、大原の計算パターンの方がTACよりも早く、かつすっきりしたものなるので、大原の計算パターンで解く方が良いと思います。

独学の場合の参考ページ
消費税法-基本通達|国税庁HP
消費税法-質疑応答事例|国税庁HP

4.固定資産税

独学 TAC 大原 LEC 通勤 ネット
初学者
経験者

固定資産税については、固定資産税を取り扱う予備校が「TAC」か「大原」だけになるため、いずれかから選択をすることになりますが、どちらでも良いでしょう。

なお、固定資産税は地方税のため、税制改正の細かな内容の説明は各市町村が公開する情報に頼ることが多いため、独学でそれを追いかけるのは結構大変です。

したがって、固定資産税については「初学者」も「経験者」も予備校を選択するのが良いと思います。

予備校の紹介

1. 資格の学校TAC

簿記 財表 法人 所得 相続 消費 固定

税理士試験と言えばTAC大原と言われるほど、メジャーな予備校です。税理士試験以外にも様々な国家資格を取り扱う資格の総合予備校です。

講師は若い実務家の先生が多く、授業がエネルギッシュです。講義も実務よりの具体的な内容で説明をしてくれるので、とても分かりやすいという特徴があります。

TACの最も特徴的な点は税法科目が強いということです。特に法人税法所得税法については無類の強さを発揮しています。

ただし、TACは受講料が最も高く、金銭的に余裕がなければ、理論が重要な税法(法人税・所得税)以外は特に選択する必要はないと思います。

2. 資格の大原

簿記 財表 法人 所得 相続 消費 固定

資格の大原はTACと並ぶ税理士試験予備校の雄です。実に官報合格者(5科目合格者)半数以上を大原受験生が占めています。

講師は若い先生や女性の先生が多く、フレッシュな感じです。講義内容も、受験生のレベルに落とし込んだ内容で、基礎から分かりやすく教えてもらえます。

大原はテキストの内容や講義・解説の丁寧さ、質問の対応、資料の送付など、あらゆる面においてサービスが優れています。

科目にもよりますが、大原は他の予備校と比べて、計算に力を入れている傾向が強く、理論については「簡潔に」「覚えやすく」をモットーにした作りとなっています。

3. スタディング(旧:通勤講座)

簿記 財表 法人 所得 相続 消費 固定

スタディングは、ここ1~2年の間にインターネット上の広告で良く見かけるようになった予備校です。もともと「中小企業診断士」に強いWeb予備校ですが、最近は税理士試験やFPなど、色々な資格をカバーするようになっています。

スタディングの特徴は何と言っても「受講料の安さ」でしょう。他には「受講生サイトの使い勝手の良さ」も魅力です。

一方、大手予備校と比べると文章による説明が多いため説明がやや分かりにくく、また問題集の量と質が劣る点は否めません

また、質問をする場合は「質問チケット」を購入する必要があるなど、サービスは大手予備校と比べると確実に劣ります

個人的にはスタンディング一本で合格は厳しいと思いますので、大手予備校の市販問題集と直前対策パックを併せて利用することで、価値を発揮する予備校だと思います。

4. LEC東京リーガルマインド

簿記 財表 法人 所得 相続 消費 固定

LECは法律系の資格(弁護士や司法書士など)に強い予備校として知られていますが、税理士試験も取り扱っている大手の予備校です。

講師は中堅~年配の先生が多いです。テキストや問題集の紙質などは大手予備校のものと比べるとやや見劣りするかもしれません。またWeb上の受講ページはかなり使い勝手が悪いです。

一方、問題集や模試の内容は悪くありませんので、とにかく受講料を下げたいという人にとっては選択肢の1つとなるかもしれません。

5. Net School|ネットスクール

簿記 財表 法人 所得 相続 消費 固定

ネットスクールは最速の解答速報が出る予備校として有名です。予備校の特徴としては、とにかく受講料が安いというところでしょう。最近は少しずつ合格実績も出てきているようです。

講師については年配の人が多く、また講義内容は講師が「電子板書」と「ペンタブレット」を利用して説明する形式になっています。

個人的な感想になりますが、講義中、講師がペンタブレットで言葉や矢印を書きながら説明をするため、板書が見づらくなったり、受講時間が無駄に長くなったりする点が気になります。

また、年配の先生が多いため、TACや大原の講師と比べると、エネルギーが伝わってこず、モチベーション維持という点で劣ると思います。

6. その他の予備校

その他の予備校には、パソコン資格で有名な「大栄」や公認会計士試験で有名な「クレアール」などがありますが、値段もそれなりにし、実績も宅内ので、選択肢に入れる必要はないと思います。

独学のメリット・デメリット、独学向きの人の特徴

独学を選ぶ最大のメリットは出費が少なくて済むということです。

もちろん、安く済むことに越したことはありませんが、独学には当然メリットもあれば、デメリットもあります。もっと言えば、独学に向いている人もいれば、向いていない人もいます。

そこで、ここでは独学のメリット、デメリットについてお話をすると共に、独学に向いている人の特徴をお話します。

独学のメリット

先にもお伝えした通り、独学の最大のメリットは安いということですが、それ例外にも、次の理由も大きいでしょう。

  1. 講義が無いため、時間的余裕が生まれる
  2. 予備校が教える論点以外も調べることができる
  3. 簡単過ぎる問題を解く必要がない
  4. 自分のペースで勉強ができる
  5. 講義を視聴する時間を無くすことができる
  6. 自分で参考書や問題集を選ぶことができる

独学のデメリット

独学はメリットもあれば、下記のようなデメリットがあります。これらは特に初学者の場合に感じやすいでしょう。

  • 制度変更・税制改正を自分でキャッチアップしないといけない
  • 分からないところを講師に質問できない
  • 自分で勉強するペースを作らないといけない
  • 自分の相対的な実力を把握できない

独学に向いている人の特徴

独学に向いている人の特徴としては次のものがあります。

  1. 自分で勉強をする習慣がある
  2. 自分で分からない所を調べる能力がある
  3. スケジューリングする能力がある
  4. 自己分析ができる

逆に、上のような特徴が無い人の場合、独学を選ぶとほとんどの場合、途中挫折するでしょう。

さいごに

受験生の中には「独学」でやりたいと思う人がいると思います。かく言う筆者も独学で勉強をしたい派です。

ですが、独学のメリットの多くは経験者が享受し易いということをお伝えしておきます。つまり初学者が独学をする場合は、金銭面以外のメリットを享受できない可能性が高いということです。

なぜかと言うと、金銭面以外のメリットは「独学でやった方が効率的かつ有効に勉強ができる」というものがベースですが、初学者の場合は、どの論点が基礎論点で、どの論点が重要で、どの論点までを予備校生はカバーしてくるのか?などが分かりません。

また、未収科目を独学で勉強をするのはとても骨が折れます。予備校で聞くとあっさり分かる内容も、自分で市販のテキストやヤフオクなどで中古品を購入して勉強をすると、恐ろしいくらい分かりません。どこまでの内容を覚える必要があるのかも分からないため、勉強が非効率になります。

したがって、初学者の場合は予備校を使うのがほとんどの場合は有効です。


一方、経験者の場合は、独学も有効な選択となる可能性があります。

1度本格的に勉強をしている場合は、基礎知識は既に身に付いていますので、全国模試や本試験でA~B判定(40点以上)の経験者にとっては予備校の講義は半分位は簡単過ぎます

解ける問題を何度も解くのは時間の無駄です。予備校では満遍なく知識をインプットしてもらいたいという考えから、基礎系の問題が多く出題されます。

もちろん、基礎系の問題をマスターすることは大切なことですが、何度も解く必要はありません。(予備校のカリキュラムでは簡単な問題を解く回数が異常に多いため非効率なことが多いです。)

それよりも、いつもと聞かれ方が違うような問題を解いて対応力を養ったり、解く事の出来ない問題や知識があいまいな問題を探し、それを重点的に学習をする方が、経験者にとって多くの場合有効です。(もちろん難問や奇問を解けるようになる必要はありませんが。)

例えば税法科目であれば、基本通達などを見ることで新しい知識を習得することができます。本試験で未知の論点に出くわすと解けないばかりか、解答時間も無駄に消費してしまうため、知識の拡充は有効な対策になり得ます。

簿記論や財務諸表論、消費税などの科目については、「計算用紙の使い方」や「仮計算の有無」などを考えることで、解答時間を短縮することができたりすることもできます。

したがって、経験者の場合は、自分でスケジューリングをし、自分の弱点を克服するような勉強をし、過去の試験や自分自身の癖などを分析をすることで、限られた時間を有効活用することができると同時に、自分の実力を向上させることができます。


とは言え、独学は自分で自分を律することができないと続けられません。予備校に質問もできなければ、最新の情報も自分でキャッチアップしていかなければいけません。

つまり、独学が良いのか?予備校が良いのか?というのは①学習の経験値②自分の性格や特性で決まります。

自分に最適な勉強スタイルを発見するのが一番です。人によって最適なものは違いますから。

最後になりますが、是非ともお金をかけたくないという理由だけで「独学を選択」することが無いように、とお伝えしておきます。

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収