ITパスポート | 情報セキュリティ | 基本情報技術者 | 応用情報技術者 | ITストラテジスト |
「ITパスポート」は近年、受験者が爆発的に増えている超人気の国家資格です。
年間受験者は約10万人と非常に多く、毎年+10%(対前年比)の増加率で受験者が増加しています。まさに、昨今のIT全盛を象徴する資格となっています。
この記事では、そのITパスポート試験の難易度や合格率、勉強スタイル(独学or予備校)、資格としての価値などをご紹介します。
なお、当記事の合格率のデータは全て下記のサイトデータに基づきます。
目次
– 目次 –
試験の難易度
超難 | 激難 | 難 | やや難 | 普通 | 易 |
ITパスポート試験はIPA|独立行政法人-情報処理推進機構が実施する国家試験です。CBT方式による試験のため、ほぼ毎日全国のいたるところで試験が実施されています。
CBT(Computer Based Testing)方式とは、コンピュータを利用して実施する試験方式のことで、受験者はコンピュータに表示された試験問題に対して、マウスやキーボードを用いて解答することになります。
CBT方式の場合、受験希望者が受験日と受験地を予約登録することで受験をすることができるため、いつでも受験をすることができるというメリットがあります。
試験では、プログラミングスキルは不要で、ITに関する幅広い知識が問われます。(例えば、暗号化方式などの情報セキュリティ、SEOなどのIT戦略、インシデント管理などのマネジメントなど、様々な知識が問われます。)
そのため、ITパスポート試験を通じて、ITの有用性やリスクを学ぶことができるため、IT企業以外の一般企業にとっても重要性・有用性の高い資格として認知されるようになってきています。
なお、肝心のITパスポート試験の難易度ですが、資格くらぶの分類としては一番難易度が低い易にカテゴライズされます。(理由は下記)
合格率 | → | 約50%と高い | |
勉強時間 | → | 20時間~80時間と短い | |
試験実施回数 | → | いつでも受験できる | |
試験形式 | → | 択一式である |
ただし、50歳以上の人やITと関わりの無い人にとっては、もっと難易度が高く感じられるかもしれません。
ちなみに、ITパスポート試験と同じような難易度の試験には「FP3級」や「簿記3級」などがあります。
ITパスポート試験の合格率
1. 合格率の推移
ITパスポート試験の直近8年間の合格率の推移は下記のグラフの通りです。
2011年に初めてITパスポート試験が導入されて以来、ほぼ毎年受験者が増えています。2018年度も前年度と比較して約10%増加することが予想されています。
なお、直近8年間における平均合格率は47.5%であり、他の国家試験の合格率と比べても、かなり高い合格率となっています。
2016年に出題形式などが変更されたことから、それ以降は徐々に合格率が上昇をしていて、直近の2018年度の平均合格率は52.2%に達しています。
2. 都道府県別の合格率
ITパスポート試験は、地域ごとの合格率に大きな差がある試験です。
基本的に、IT産業が集積する首都圏と関西圏は合格率が高く、地方圏については合格率が低いという傾向があります。(ただし、北陸地方と中国地方は合格率が高い地域となっています。)
なお、トップは東京都であり、その合格率は61.4%と、他と比べて突出して高い合格率となっています。
3. 職種別の合格率
傾向としては2つあり、1つ目は社会人は学生よりも合格率が高いというものです。これにより、ITパスポート試験では社会人経験が活きるということが言えることになります。
2つ目は、社会人の中でも非IT系の社会人の方がIT系の社会人よりも合格率が高いというものです。恐らくIT系の社会人の何割かは無勉強で試験を受けているのではないかと思います。
勉強時間
ITパスポート試験の合格に必要な勉強時間は、ITの教養がどれだけあるか?によって差が出てきます。
例えば、学生の場合、ほとんどの人がITパスポート試験に出てくるような情報とは無縁の生活をしていると思いますので、言葉の意味から覚えていく必要があるため、60時間~80時間(1月~2月)くらいの勉強時間が必要になってくるでしょう。
一方、社会人の場合は、社内研修などによって既に一定のITリテラシーがあると思いますので、短ければ20~40時間(2~3週間)程度の勉強で合格可能でしょうし、長い人でも40~60時間(半月~1月)くらいあれば合格レベルに達すると思います。
勉強スタイル
ITパスポート試験の勉強スタイルには、大きく分けて次の3つの勉強スタイルがあります。
- 独学:1,700円
→ 市販テキスト + 過去問サイト - web予備校:7,980円
→ スタディング - 大手予備校:15,000円~25,000円
→ TAC or 大原 or LEC
● 基本は独学
基本的に、ITパスポート試験の勉強は「独学」で大丈夫ですし、そもそも独学が主流です。
なぜなら、ITパスポート試験は合格率が約50%と高く、内容も他の試験と比べると平易だからです。
● 無料サイトも充実
また、ITパスポート試験に出てくる用語については、インターネット上の色々なサイトで説明がされているので、たとえテキストで分からない言葉が出てきてもググればすぐに解決ができます。
過去問サイトに至っては、下にも紹介していますが「ITパスポート 過去問」と検索をすれば、いくつものサイトがヒットしてきます。
したがって、ITパスポート試験については、既に独学でも合格ができる環境がある(無料の過去問サイトや対策サイトが充実している)ため、あえて受講料の高い予備校を選択する必要がありません。
特に、ある程度ITに教養のある人の場合は、予備校は無駄な出費になる可能性が高いです。
● 苦手意識のある人は予備校
ただし、ITに対して苦手意識のある人については、予備校の利用をお勧めします。
なぜかと言うと、独学は分からない所があれば、(当たり前ですが)全て自分で調べ、理解する必要があり、誰も教えてくれません。
一方、大手予備校の場合は、教室クラスで受講をすれば、講義終了後に講師に直接質問をすることができ、これによってITに苦手意識のある人でも、着実に学習を進めることができます。
したがって、ITに苦手意識があり、かつ、金銭的に余裕のある人は大手予備校という選択もありです。
1. 独学という選択
再掲になりますが、ITパスポート試験における勉強スタイルの主流は「独学」です。
この独学で必要なものはたった1つです。次のテキストを購入して終わりです。
ちなみに、ITパスポート試験対策のテキストはたくさんありますが、他のテキストは、分からないことを分からない言葉で説明をしていたり、内容が唐突過ぎたり、文章がたくさんあり過ぎたりと、初学者の人にはあまりお勧めできないものが多いと思います。
上記のテキストは、比較的分かりやすいと思いますし、テキストの中に丁度良い間隔で例題があったり、分量が丁度良かったりと、他のテキストと比べて使いやすいと思います。
なお、あえて言いますが問題集は不要だと思います。
なぜなら、ITパスポート試験の勉強は「テキスト → 過去問サイト」という勉強が一番効率的かつ効果的だと思うからです。
したがって、上記のテキストを購入したら、
① テキストを読み (サラっと読むだけ)
② テキスト中の例題を解き (しっかりと理解する)
③ 過去問サイトを解く (全選択肢を理解する)
という順で学習を進めます。
上記の通り学習を進めれば、自然と合格レベルに達すると思います。
なお、過去問サイトには下記の通り、たくさんのサイトがありますので、自分に合ったものを利用してください。(個人的には、一番上のサイトが一番使いやすいと思います。)
合格レベルについて
過去問サイトで最低3~5年分は解き、2年連続で8割以上取れているようであれば、合格レベルに達していると言えます。
● 問題集はなぜ不要か?
上の方で「問題集を不要」と言っているのはなぜか?というと、問題集を購入してまで例題を解く必要がないからです。
また、過去問サイトも充実しているため、アウトプット(演習)も過去問サイトで十分な量をこなせると思うからです。
過年度のテキストはOK?
過年度のテキストを使ってOKかと言うと、全然OKだと思います。
なぜなら、ITパスポート試験に出題される内容は基礎中の基礎の内容であるため、その内容はほとんど不変なものだからです。
ただし、IT関連資格の書籍は驚くほど誤植が多いため、最新版の方がその誤植が訂正されている可能性が高いということだけは、お伝えしておきます。
2. 予備校という選択
ITパスポート試験を取り扱う予備校としてはいくつかありますが、値段と学習効率を考えるのであれば「スタディング」が良いと思います。
● スタディング – web予備校
スタディングは格安の受講料として知られるweb予備校ですが、個人的にスタディングの売りは「受講生サイトの作りの良さ」だと思っています。
正直スタディングのテキストはあまりイケていませんが、受講生サイトが秀逸で、自分の学習の進捗状況が一目で分かる機能が付いてたり、自分の不得意な問題だけ抽出する機能が付いていたりと、学習効率を高める工夫がされています。
ただし、スタディングでは、有料による質問しかできず、また、質問方法もメール質問に限られるため、その点には注意が必要です。
試験の概要
● 受験資格
無し
● 受験料
5,700円(税込)
● 受験申込み
下記のITパスポート試験HPより申込み
・受験申込み – ITパスポート試験
● 試験科目
- ストラテジ系・・・35問前後
法律、財務、企業ガバナンスなど
- マネジメント系・・・20問前後
プロジェクトの工程管理、テスト、マネジメント方法など
- テクノロジ系・・・45問前後
ネットワーク、SQLなど
● 合格基準(①と②を同時に満たす場合)
- ① 総得点が60%以上である
- ② 30%未満の科目が1つもない
● 試験時間
120分
ITパスポートの価値
ITパスポートの価値は、①学生、②社会人、③職種によって異なります。下記では、いくつかの立場に分けて「ITパスポートの有用性」についてお話をしたいと思います。
● 大学への進学を考えている人
あなたが高校生で、大学へ推薦入学で進学をしようと考えているようであれば、ITパスポートは力になります。特に情報処理関連の学部へ進学を考えているような場合はよりその価値があります。
理由は次の2点です。
- 資格を取得するための努力ができるという人間性が評価されるため
- 情報処理関連の学部を目指す志望理由と合致するため
したがって、推薦入試で進学を考えているようであれば、ITパスポート試験を合格している価値は高いでしょう。
● 就職・転職活動中の人
基本的にITパスポートだけで採用されることはないと思いますが、他の難易度の低い資格(例えば簿記3級やFP3級)よりも断然評価をされるようです。
実際に、私の周りの人事担当や転職エージェントに聞いても、同じ難易度の「簿記3級」や「FP3級」よりも高く評価しているところが多いと口をそろえて言います。
ただし、古い経営者は存在自体を知らないことが多いためほとんど価値が無いこともあります。一方で、若い経営者はITリテラシーの高い人を好む傾向があります。
したがって、募集をしている企業の時期や状況によっては、ITパスポート試験に合格をしていることが採用の決め手になることもあり得えると思います。
● 自己啓発のために取得を考えている人
これは個人的な見解になりますが、これから少なくとも数十年という単位では、ITスキルがある人の方が重宝されることは間違いないと思います。
例えば、2010年以降に上場した企業のほとんどが「ITを利用した企業」であることからも、ITの重要性が高いことが分かります。
仕事柄、経営者や富裕層とお話をする機会が多い筆者ですが、そこで思うのは、企業が求めてるITスキルの高い人材とはプログラミングスキルのある人というわけではないということです。
企業が求めているのは、ITリテラシー(ITに対する理解力)の高い人を求めているということです。
このITリテラシーを高めるためには、ITの基本的な特性や情報を理解しておく必要がありますが、そのとっかかりとして丁度良いのがこの「ITパスポート試験」だと思います。
自己啓発のために何らかの資格を取ろうと考えているようであれば、筆者は積極的にITパスポートをお勧めします。
さいごに
ITパスポートは情報処理試験の中では一番基礎の資格です。
一方で、ITパスポート試験で問われる問題は、プログラミングスキルを問う問題ではなく、財務やマネジメント、IT戦略、ネットワークなど、ITに関する多様な知識を問うものです。
そのため、ITパスポート試験を通じて学ぶ知識は、IT全盛の昨今においては、その有用性は計り知れず、ある意味、今後の世の中の「パスポート」と言える資格だと思います。
FPよりも、簿記よりも、何よりもこのITパスポートが汎用性が高く、かつ、今後の世の中で求められている資格だと、筆者は思います。
ITパスポート | 情報セキュリティ | 基本情報技術者 | 応用情報技術者 | ITストラテジスト |