FP1級-受験資格 | FP1級-難易度 | FP1級-勉強方法 | FP2級 | FP3級 |
目次
試験の難易度
超難 | 激難 | 難 | やや難 | 普通 | 易 |
FP2級の試験は学科試験と実技試験からなっています。しかし、その実体は学科試験が「基礎問題」、実技試験が「応用問題」といった内容です。
実技試験と言っても、口頭試問などが行われるわけではなく、単なるペーパーテストです。
試験は年に3回(1月と5月と9月)実施されていて、午前に学科試験、午後に実技試験が行われます。
主催団体には「きんざい」と「FP協会」の2つがあり、午前の「学科試験」では両団体で共通の問題が出題されますが、午後の「実技試験」では、それぞれの団体が別々の問題を出題します。
肝心のFP2級の難易度ですが、普通に勉強をすれば合格できるレベルの試験だと思いますので、資格くらぶの分類では普通に分類されます。(理由は下記)
同じような難易度の試験には「簿記2級」や「ITパスポート」などがあります。
試験科目 | → | 試験範囲がやや広い | |
合格率 | → | 約30%とやや低い | |
勉強時間 | → | 60時間~100時間と短い | |
試験形式 | → | マークシート式 | |
試験実施回数 | → | 年に3回ある |
FP2級の1歩先の資格には「FP1級」や「中小企業診断士」などがあります。
合格率の推移
次のグラフは、学科試験と実技試験の直近10回の合格率の推移です。
前述の通り、FP2級の試験は「きんざい」と「FP協会」の2つの団体で実施されていますので、それぞれの合格率の推移を掲載しています。
1. 学科試験
学科試験の合格率は、FP協会では40%前後、きんざいでは25%前後で推移をしています。近年は合格率が上昇傾向にありましたが、直近の実施回(2018.9)では、FP協会ときんざいともに合格率を下げています。
上のグラフを見ても分かると思いますが、全く同じ試験問題にも関わらず、FP協会の合格率(40%前後)ときんざいの合格率(25%前後)とでは、実に2倍近くの開きがあります。
開差の理由は、単純にきんざいの受験生の方が、勉強をしていない人の割合が多いということです。
なお、両団体を合算して考えた場合の学科試験全体の合格率は30%になります。
2. 実技試験
実技試験の合格率は、FP協会では50%~60%と安定をしていますが、きんざいでは毎回の試験で合格率に大きな差があります。
なお、直近10回の各実技試験の平均合格率、最高合格率、最低合格率を列挙すると次の表の通りになります。
試験科目 | 平均 | 最高 | 最低 | |
---|---|---|---|---|
FP協会 | 資産設計 | 54.4% | 63.9% | 45.9% |
きんざい | 個人資産 | 33.0% | 60.5% | 17.8% |
生保顧客 | 40.6% | 50.2% | 26.2% | |
中小事主 | 41.9% | 50.0% | 32.4% | |
損保顧客 | 60.7% | 72.4% | 54.6% |
面白いことに、全ての実技試験で「実技試験の合格率 > 学科試験の合格率」となっています。
つまり学科試験に合格する実力があれば、実技試験にも合格できる実力になるということです。
したがって、勉強に当たっては実技試験の対策をするよりも、学科試験に重点を置いて勉強をする方が合格し易いと言って良いでしょう。
実技試験の種類について
FP2級の実技試験の種類は1つではなく、FP協会で1種類、きんざいで4種類あります。
したがって、きんざいで受験をする場合には次の4つの実技試験から1つを選択することになります。
FP協会で受験をする場合は、実技試験の種類が1つしかありませんので選択の必要はありません。
- 個人資産相談業務
- 中小事業主資産相談業務
- 生保顧客資産相談業務
- 損保顧客資産相談業務
1月と5月と9月の年3回実施されます。主に一般の会社員に対して、ライフプランニングをすることを想定した問題が出題されます。
1月と9月の年2回実施されます。主に中小企業のオーナーに対して、ライフプランニングをすることを想定した問題が出題されます。
1月と5月と9月の年3回実施されます。主に一般の会社員に対して、生命保険に加入することを前提に、ライフプランニングをすることを想定した問題が出題されます。
年1回、9月に実施されます。主に一般の会社員に対して、損害保険に加入することを前提に、ライフプランニングをすることを想定した問題が出題されます。
どの科目を選ぶのか?ということですが、市販の問題集の多くが「きんざいの個人資産相談業務」又は「FP協会の資産設計提案業務」向けの問題です。
したがって、仕事で「生命保険」や「損害保険」を取り扱っている、というような特別な事情がなければ、きんざいで受験をする場合は「個人資産相談業務」を選択するのが良いでしょう。
勉強時間
FP2級の勉強時間は、FP3級合格者レベルであれば60時間~100時間が標準的です。1日当たり1~2時間の勉強を1~2ヶ月続けることで、十分に合格レベルに達します。
なお、FP2級の試験で出題される科目と範囲は下記の通りです。
試験科目 | 内容 |
---|---|
ライフプランニングと資金計画 | ライフプランニングの考え方や複利計算の仕方などが問われます。 |
リスク管理 | 保険(主に生命保険)の知識が問われます。 |
金融資産運用 | 金融資産(株、預金、債券など)に関する知識が問われます。 |
タックスプランニング | 税金(主に所得税)の知識が問われます。 |
不動産 | 不動産に関する法規制について問われます。 |
相続・事業承継 | 相続や贈与に関する知識が問われます。 |
なお、出題範囲はFP3級と同じになります。ただしFP3級よりも少しだけ深い知識が問われ、暗記量も少しだけ増えます。
とは言え、問題の出題形式も2択や3択のものが多く、ひっかけ問題もほとんど無いため、一度FP3級を勉強していればそれほど苦労することはないと思います。
勉強方法

FP2級の勉強スタイルには、大きく分けて次の3通りのスタイルがあります。
- 独学 ← オススメ
- 予備校 ← 次点
- 通信教育
筆者の個人的感覚としては、基本的にFP2級レベルであれば「独学」が一番だと思います。
ただし、それぞれの勉強スタイルに長所と短所がありますので、最終的には自分自身の置かれている環境や金銭的余裕、独学の経験の有無などを考慮して決めるのが良いと思います。
以下にそれぞれの勉強スタイルの長所・短所を列挙しますので、参考にしてください。
スタイル | 長所 | 短所 |
---|---|---|
独学 |
|
|
通信教育 |
|
|
予備校 |
|
|
なお、どれを選択するのか?の基準としては、次の考え方ありますので参考にしてください。
① | とにかく受験費用を安くすませたい | → | 独学 |
---|---|---|---|
② | 自分1人で勉強をする習慣がある(重要) | → | 独学 |
③ | 金銭的に少し余裕があり、自分のペース(講義無し)で勉強をしたい | → | 通信教育 |
④ | 金銭的な余裕があり、講義を視聴しながら勉強をしたい | → | 予備校 |
⑤ | FP1級・CFPを目指す予定 | → | 通信教育 予備校 |
1. 独学の場合
独学を選択する場合の費用や勉強方法、教材は次の通りです。
費用
独学の場合は、市販の「教科書」と「問題集」を購入して終わりです。受験費用を合わせても1万円で済みます。
① | 教科書 | 2,000円前後 |
② | 問題集 | 2,000円前後 |
③ | 受験費用 | 6,000円 |
合計 | 約10,000円 |
---|
勉強方法

FP2級の勉強方法の流れは「問題集( ⇔ 教科書) → 過去問」になります。
STEP 1
もしFP3級に合格しているような場合は、教科書を初めから読む必要はありません。いきなり問題集に取り掛かりましょう。 分からないところや回答に迷ったところをネットや教科書で確認しながら進みます。
この勉強方法で大切なのは、全ての選択肢をしっかりと、確実に理解をすることです。解答が「正解」であれば良いと言うわけではなく、全ての選択肢について、自信をもって〇×の判定ができるようになることが目標です。
STEP 2
試験の1ヶ月~2週間前になったら過去問を解き始めましょう。最低でも3年分くらいは解きましょう。2年連続で8割以上取れるようになれば合格レベルに達していると言えます。
なお、過去問は書籍を購入するよりも、下記のようなサイトを利用するのがオススメです。無料で利用できるうえ、簡単な解説もあるため効率的に見直しができます。
独学が向いている人の特徴
- 出費を抑えたい人
- 自分で勉強をする習慣のある人 ← 最重要
- 既に不動産や税務、保険などの知識のある人
おすすめの教科書・問題集
FP2級の教科書や問題集はどれもさほど違いが無いように思いますので、フィーリングで決めてもOKです。「最新版を買う」というところさえ外さなければなんでもOKです。
教科書 | 問題集 |
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FP2級・AFP きほんテキスト![]() |
FP2級・AFP これだけ! 問題集![]() |
過年度の教科書はOK?
結論から言うと、FP2級の参考書や問題集について言えば基本的「NO」です。
理由は、FP試験の範囲には「税務」の問題が多く含まれていますが、税務は毎年(毎月)税制改正が行われていますので、古いテキストの場合は間違えて覚えてしまう可能性があるためです。
ただし、1年前くらいの本であれば、多少の法改正はあれど、合格レベルに達することはできると思います。
2. 通信講座の場合
通信講座と言えば「ユーキャン」です。独学と比べると高くつきますが、予備校よりは安く、テキストの内容が非常に分かりやすいという特徴があります。(実際に見てもらうと分かりますが、市販のものよりも格段に分かりやすく作られています。)
また、下の方にも書いていますが、教育給付金制度の利用が可能であり、購入した教材も中古サイトなどで転売をすることができるので、意外と出費が抑えられるというのがユーキャンの特徴でしょう。
費用
ユーキャンのFPの講座料は64,000円(税込・送料込)ですので、受験料と合わせて7万円になります。
① | 講座料 | 64,000円 |
③ | 受験料 | 6,000円 |
合計 | 70,000円 |
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ユーキャンのメリット
ユーキャンのFP講座は、教育給付金制度の対象講座のため、一定の条件を満たす場合には、ハローワークから講座料の20%がリターンされます。
また、ユーキャンの講座は人気があるため、状態が良いものであれば、メルカリで10,000円以上で転売することも可能です。
独学と比べると出費が気になるかもしれませんが、合格率が30%の試験ですので、しっかり勉強をしないと落ちます。特に「税務」や「不動産」「保険」、「複利計算」が苦手な人は、基本からしっかりと勉強をしなおした方が良いでしょう。
FP2級の試験を2度も3度も受験をするのは、お金も時間ももったいないと思いますので、「1発で決めたい!」、「いずれはFP1級も!」と考えている場合には、ユーキャンも選択肢に入れても良いと思います。
通信講座が向いている人の特徴
- しっかりとしたFP知識を身に付けたい人
- 金銭的な余裕のある人
- 分かりやすいテキストが欲しい人
- あまり不動産や税務、保険などの知識がない人
3.予備校を選択
予備校を選択する場合の費用や予備校の種類は次の通りです。
費用
予備校を利用する場合は、独学よりも断然費用がかさみます。また、どこの予備校を利用するかによっても値段に大きな差があります。
① | 受講料 | 25,000円~10万円 |
② | 受験費用 | 6,000円 |
合計 | 3万円~11万円 |
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FP2級の予備校と受講コース
FP2級の講座を取り扱う予備校はたくさんありますが、代表的なところには次の予備校があります。
予備校 | 講座 | 料金 | 予備校の特徴 |
---|---|---|---|
ネットスクール | 2級FP 合格ゼミ24 教材込 | 25,920円 | 受講料が一番安いWEB予備校。講師がやや高齢なのと受講生サイトが使いづらいのが難点。 |
スタディング![]() |
FP2級合格コース![]() |
29,980円 | 圧倒的に安い受講料が売りのWEB予備校。コスパ最強。 |
ECC |
AFP+2級FP技能士コース |
59,800円 | 高合格率が売りのFP講座に特化した予備校。AFP対応講座のみ。 |
LEC | AFP・2級FP技能士 | 73,440円 | 大手予備校の中では最安の受講料。AFP対応講座のみ。 |
資格の大原 | 2級(AFP)合格フルセット【web】 | 96,000円 | 大手の予備校。手厚いサービスと充実したテキストが売り。AFP対応講座のみ。 |
TAC | 新2級本科生(1月)【web】 | 98,200円 | 大手の予備校。公認会計士や税理士など多様な資格を取り扱う。 |
受講料は定価・税込で表示をしていますが、各種の割引(例えば再受講割引や早割など)は考慮していません。
また、受講形態(通学・DVD・WEBなど)によっても受講料が変わるため、実際にはもっと安くなる場合もあれば、高くなる場合もあります。
基本的に、大手予備校はAFP対応講座のみであるため、受講料が高過ぎます。
FP2級を取得しても独占業務も無ければ、転職活動でもそれほどプラスに働かないので、3万円以上払うのは個人的にはもったいないと思います。
もし「講義を聞きながら勉強をしたい」という人はスタディング一択で良いと思います。
スタディングは、安い割に、受講生サイトが非常に使いやすく、講義もしっかりしているので、コスパが一番高いと思います。(逆に、大手予備校は高すぎて選択の余地がありません。)
予備校が向いている人の特徴
- お金に余裕のある人
- 自分で勉強する習慣のない人
- 税務や保険、税務などの基礎知識が全くない人
- 質問をしたい人
さいごに
FP技能士は検定資格のため、FP2級を持っていても(仮にFP1級を持っていたとしても)それだけでは仕事になりませんし、履歴書の資格欄に記載をしてもそれほどインパクトが無いのが正直なところです。
もし、もう一歩先に進みたいということであれば、「中小企業診断士」をお勧めします。FP取得者が進む先として多い資格には「社労士」や「税理士」「行政書士」などがありますが、難易度とその後の資格の有効活用度、収入などを考えれば中小企業診断士の一択で間違いありません。
ただし、FP2級よりも難易度がグッと高くなる資格ですので、気を引き締めてから目指しましょう。
FP1級-受験資格 | FP1級-難易度 | FP1級-勉強方法 | FP2級 | FP3級 |