宅地建物取引士と宅地建物取引士試験

2019年1月28日

ここでは宅地建物取引士とその試験の概要についてお話しします。

1. 宅地建物取引士とは?

宅地建物取引士とは、不動産取引に関する専門家であり、宅地建物取引業法に定められる国家資格です。日本全国で100万人以上が登録しているモンスター資格です。

平成27年より前は「宅地建物取引主任者」という資格名称でしたが、業界団体の強い要望を受け、平成27年4月1日より、「宅地建物取引士」として士業化されました。

(1) 宅地建物取引士の独占業務と主たる仕事

宅地建物取引士の法定業務(独占業務)は、次の3つです。

  1. 重要事項説明(宅建業法第35条①)
  2. 重要事項説明書への記名・押印(宅建業法第35条③1)
  3. 契約書への記名・押印(宅建業法第37条①)

実際には、次の仕事が宅建士の主たる業務となります。

  • 不動産の売買・交換を自ら行うこと
  • 不動産の売買・交換を代理・媒介すること
  • 不動産の貸借の代理・媒介すること

(2) 資格業界における宅地建物取引士のポジション

宅地建物取引士は、他の資格業との関わりが深く、人脈やネットワークの大小が売上に直結します。

宅地建物取引士と他資格との関連
宅地建物取引士と他資格との関連

(3) 宅地建物取引士になる方法

宅地建物取引士となるためには、宅地建物取引士資格試験に合格し、その後実務経験の無い人は実務講習を受け、登録申請をすることでなれます。

宅地建物取引士登録までの流れ
宅地建物取引士登録までの流れ

(4) 宅地建物取引士の職場・年収

宅地建物取引士の就職先は基本的には「不動産仲介会社」です。

宅地建物取引士の年収は、人によって差が激しいのが実情ですが、次のような年収帯をイメージすると良いでしょう。

職種ボリュームゾーン上位層
不動産賃貸業200万円~400万円600万円~800万円
不動産売買業400万円~900万円1,500万円~3,000万円
職種に応じた年収帯

2. 宅地建物取引士試験の概要

ここでは、宅地建物取引士試験の受験資格、スケジュール、合格難易度について解説しています。

(1) 宅地建物取引士試験の受験スケジュール

宅地建物取引士試験は、例年7月頃に受験申請があり、10月に本試験があり、12月初旬に合格発表があります。

宅地建物取引士の受験スケジュール
宅地建物取引士試験の受験スケジュール

不動産会社や金融機関に勤務している人、他の国家資格者については不動産や法律の基礎知識があるため、本試験の4月~6月頃から勉強をしても十分に間に合うでしょう。

一方学生や不動産や法律と馴染みのない仕事をしている人は本試験の前の年の12月頃から勉強を始めると良いと思います。

(2) 受験資格と受験料

  1. 受験資格
    宅地建物取引士試験に受験資格はありません。
  2. 受験料
    7,000円(非課税)

(3) 試験科目

科目出題数問題番号目標点
宅建業法20問第26問~第45問18点
民法など14問第1問~第14問8~10点
法令上の制限8問第15問~第22問5点
税・その他8問第23問~第25問
第46問~第50問
5点
各科目の目標点

(4) 合格基準

宅地建物取引士試験の合格基準はありません。毎年の合格率からすると、合格率が15%~17%となるように調整がされているようです。

実施年申込者数受験者数合格者数合格率合格基準点
令和2年204,163168,98929,72817.6%38点
令和元年276,019220,79737,48117.0%35点
平成30年265,444213,99333,36015.6%37点
平成29年258,511209,35432,64415.6%35点
平成28年245,742198,46330,58915.4%35点
平成27年243,199194,92630,02815.4%31点
平成26年238,343192,02933,67017.5%32点
平成25年234,586186,30428,47015.3%33点
平成24年236,350191,16932,00016.7%33点
平成23年231,596188,57230,39116.1%36点
宅地建物取引士試験の受験者数・合格率・合格基準点

(5) 勉強方法と予備校

宅地建物取引士試験の勉強方法は、独学、通信教育、予備校といずれもあります。受講料も他の資格と比べて安いため、通信教育や予備校も選択肢に上がります。

(6) 宅地建物取引士試験の難易度

宅地建物取引士試験は国家試験の中では標準よりやや簡単なレベルの試験となっています。平均的な勉強時間としては、初学者で200時間~300時間くらいになります。

分類資格
宅建より難しい試験行政書士、社労士
宅建と同じくらいの試験簿記1級、宅建士、中小企業診断士、ITストラテジスト
宅建より簡単な試験応用情報技術者、マンション管理士
宅建と他の試験との難易度比較表