宅地建物取引士の難易度・合格率

概要 難易度 独学と予備校 勉強方法 報酬・年収

ここでは、宅地建物取引士(宅建)の試験の難易度、合格率の推移、合格点・合格予想点の推移などをお話しします。

なお、合格率等のデータは、一般財団法人 不動産適正取引推進機構HPの掲載データに基づきます。

目次

試験の難易度

超難 激難 やや難 普通

宅地建物取引士試験は国土交通省が実施する国家試験で、例年10月の第3日曜日に実施される四肢択一のです。

試験では宅建業法民法(権利関係)の問題を中心に、建築基準法などの行政法規不動産に関する税金などの問題が出題されます。

受験資格は無いため、受験料7,000円を支払えば誰でも受験をすることができます。

肝心の試験の難易度ですが、資格くらぶの中の分類としては、やや難に分類されます(理由は下記)。ただし、法学部出身者や不動産関連会社に勤めている人にとっては普通の難易度になると思います。

合格率 15%前後と低い
試験実施回数 年に1度きり
試験科目 科目難易度がやや高い
勉強時間 100~300時間と比較的短い
試験形式 四肢択一型である

同じような難易度の試験には「FP1級」や「簿記1級」、「基本情報処理技術者」などがありますが、その中では一番簡単な方の試験だと思います。

合格率の推移

平成21年から平成30年までの10年間の宅建試験の受験者数、合格者数及び合格率の推移は次の通りです。

受験者は景気の回復に比例して、2010年頃から増加を続けています。

合格率については、直近4年間は15%後半で安定的に推移をしています。なお、直近10年間の平均合格率は16.1%です。

景気と宅建

宅建以外の国家資格の試験では、一般的に景気が良くなると受験者数が減る傾向にありますが、宅建試験は景気が良くなると受験者数が多くなる珍しい資格です。

その理由は、宅建が必要とされる場面は「不動産取引が行われる場面」であるためです。

つまり、景気が良い時ほど不動産取引が増えるため、不動産業界の求人募集が増加し、さらに募集する給与水準も高くなることから、結果として、宅建試験を受けようと思う人が増えるということなのです。

例えば、営業成績が良い不動産仲介業者の営業担当者では、年収1,000万円を超えることは珍しくなく、年収3,000万円overという人もちらほら見かけるほどです。

逆に、宅建以外の資格は、宅建ほど景気による給与水準の変動が大きくないため、通常は景気が良くなると事業会社の給与水準より下がります。そのため、宅建以外の資格は景気が良くなると目指したいというモチベーションが下がるため、受験者数は減少する傾向にあります。

合格点及び合格予想点の推移

次のグラフは直近10年間の宅建試験の合格点と大手予備校が公開した合格予想点の推移です。

過去10年間で合格予想点が合格点を下回っていないのが「TAC」の予想点ですので、TACの合格予想点の最高点以上であれば、まず合格をしていると考えてよいと思います。

各予備校では合格予想点をレンジ(例えば「34点~36点」といった得点の範囲)で公開をしていますが、上記のグラフではそのレンジの最高点(上記の例で言うと36点をプロットしています。

なお、上の凡例はタップすると「表示・非表示」を切り替えることができますので、特定の予備校について知りたい方は、On/Offの機能を活用してください。

勉強時間

宅建試験の合格に必要な勉強時間はだいたい150時間~300時間くらいです。また、各科目にかける標準的な勉強時間は次の通りです。

科目 勉強時間 難易度
民法・借地借家法等 60~120時間 やや難
行政法規・税金 30~60時間 普通
宅建業法 60~120時間 ~普通
その他 0~20時間

宅建試験の合否は、極論を言うと次の2点にかかっています。

  • ① 得点源である「宅建業法」をどれだけ落とさずにできたか?(むしろ満点を目指す)
  • ②「民法」などの権利関係をどれだけ得点をかせげたか?

したがって、必然的に「宅建業法」と「民法等」に費やす時間が増えるということになります。

なお、上記の勉強時間を1日当たりの勉強時間に換算すると、1日1時間の勉強を続けると3ヶ月~半年くらいの期間、1日2~3時間の勉強を続けると2ヶ月~3ヶ月が目安になります。

もし、法学部出身者で既に民法の勉強をしたことがある人や不動産関連企業に勤めている人などは、理解のための勉強時間が短くなりますので、上記の勉強時間より少なく済むと思います。

試験科目と難易度

宅地建物取引士の試験は先の通り、四肢択一型の試験です。試験で出題される内容は「不動産」に関する下記の科目です。

科目 問題数 問題番号 難易度
民法・借地借家法等 15問前後 1~14 やや難
行政法規・税金 10問前後 15-22 普通~やや難
宅建業法 20問前後 26-45 ~普通
その他 5問前後 46-50

以下に各科目ごとの難易度をもう少し具体的にお話をします。

(1) 民法・借地借家法等:やや難

標準勉強時間:60~120時間

前述の通り、宅建士の合否に直結するのがこの「民法・借地借家法等の出来」です。ただし、その内容は法律初学者にとってはハードルが高いと思います。

出題の内容は不動産取引が行われた場合の「権利関係」についての問題が多く、物権や債権、時効、代理権、瑕疵担保責任などの知識が問われます。

基本的に、判例の考え方を理解できていれば解けますので、法律知識のある人はアドバンテージになるでしょう。

一方で、法律的知識の無い人は基本的な法律の考え方から学んでいかなければいけないので、難易度を高く感じるでしょうし、学習時間も長くなります。

(2) 行政法規:普通~やや難

標準勉強時間:30~60時間

行政法規とは「行政上の各種の規則」のことを言いますが、宅建で出題される範囲は「建築基準法」「都市計画法」「宅地造成等規制法」「不動産鑑定評価基準」など範囲がとても広いので、全ての知識をインプットするというのは得策ではありません。

基本的な学習方針としては、用途地域や日影規制などの基礎的な知識をインプットしたら「過去問」を解きながら、出題された範囲の周辺知識を追加的にインプットしていくという方法が効率的です。

(3) 宅建業法:易~普通

標準勉強時間:60~120時間

宅建業法は他の科目と比較して範囲が狭い(限定されている)ため、得点になる科目ですし、実際にこの科目の出来が合否に直結をします。

内容もアパートを借りたりしたことがあれば、それなりにイメージがでいることが多いので、理解もしやすいと思います。

とにかくこの科目は勉強をすればするほど伸びますので、惜しみない勉強時間を費やしましょう。

(4) その他:

標準勉強時間:0~20時間

その他は別名「免除科目」とも言われてますが、実質的に対策が不可能な科目です。

なぜなら、範囲が広く、また最新の不動産に関する情報が問題として出題されるため、なかなか対策ができないということに起因します。

したがって、過去問を解いて理解する程度の勉強で十分のため、あまり時間をかけないようにするのが良いでしょう。

正式な試験範囲

なお、宅地建物取引業法・施行規則第8条に記載されている「正式な試験範囲」は下記の通りです。

  1. 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
  2. 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
  3. 土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
  4. 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
  5. 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
  6. 宅地及び建物の価格の評定に関すること。
  7. 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

さいごに

宅地建物取引士の資格登録者は100万人を超えるほど、日本ではメジャーな資格であり、個人的にとても有用な資格で、日常生活にも役に立つ資格だと思います。

例えば、民法の知識(考え方)は、法治国家で暮らしている以上、ある程度知っているべき内容だと思います。また、実際に不動産を賃借したり、売買をしたりという機会は、突然生じるもので、そのときに知識として知っていることは、損をしないことにもつながります。

とは言え、法律の考え方というのはなかなか厄介なもので、法律初学者の人にとっては意外と学習は苦難の道になる可能性が往々にしてあります。

簡単な資格とちまたでは言われていますが、合格率も15%程度と決して高くはありませんし、範囲も広いので、適当に試験に挑めばほとんどの人がまず合格できません。

ですが、侮らずに、しっかりと勉強を続ければ合格ができる資格ですので、是非、日常生活に関わりの深い「不動産」という世界に飛び込んでみてください。

概要 難易度 独学と予備校 勉強方法 報酬・年収