税理士試験の難易度と合格率

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平成最後のH30年(2018年)の税理士試験は、全体的に例年並の合格率でしたが、最難関科目の法人税法と所得税法についてはやや厳しい年となりました。やはり難易度の高い国家試験であるということなのでしょう。

この記事では、その税理士試験の「難易度」と「合格率」についてお話をします。

  1. 試験の難易度
  2. 合格率の推移
  3. 合格者の属性
  4. 合格までの所要年数
  5. 科目別難易度

試験の難易度

超難 激難 やや難 普通

税理士試験の難易度は、数多ある資格試験の中でも指折りに難しい試験の1つで、受験資格、合格率、取得に要する期間、勉強時間のいずれの視点においても難易度が高く、資格くらぶの中の分類としては、上から2番目の激難に分類されます。

個人的には、税理士試験を超える試験は、司法試験くらいだと思っています。

税理士試験の難易度の理由を列挙すれば次の通りです。

合格までの期間 平均10年と長期に渡る
合格率 各科目とも約10%と低い
試験科目 5科目の合格が必要で各科目とも学習量が多い
勉強時間 4,000~5,000時間と非常に長い
試験形式 論文式である
試験実施回数 年に1度きり
受験資格 今時珍しい一定の受験資格がある

なお、同じような難易度の試験には「不動産鑑定士」や「公認会計士」、「司法書士」などがあります。

近年は受験者数が減少していて、一部の科目で合格率が上がっているものもありますが、受験科目数や最終合格までの受験期間、合格率を考えると「難関試験」の筆頭格と言えます。ただし、院免を利用する場合には、程度の難易度に下がると思います。

合格率の推移

まずは税理士試験の各科目の合格率の推移からです。各科目の直近10年間の合格率の推移を以下にまとめています。

1.会計科目(簿記論・財務諸表論)

簿記論と財務諸表論は、税理士試験の中でも比較的合格率の高い科目で、例年10%~20%の間で推移しています。

全体としては、財務諸表論の方が簿記論と比べて合格率が高く、また、財務諸表論については、合格率が異常に高くなる年があります。例えば平成29年の財務諸表論の合格率は29.6%と、税法科目ではあり得ない高い合格率の年でした。

2.必須税法科目(法人税・所得税)

法人税法と所得税法は、税理士試験の最難関科目であり、毎年10%~15%の低い合格率で推移しています。特に、法人税法は学習ボリュームが多いのにも関わらず、合格率は安定の12%前後と厳しい科目です。

他の税法科目と比べて、法人税法と所得税法については、年度による合格率の差はあまりないのが特徴でしょう。

なお、この法人税法と所得税法は、税法科目としてどちらか1つを必ず合格する必要があり、「必須税法科目」となっています。

近年の特徴として、所得税と法人税法は難易度が高すぎるため、大学院に進み「院免」をする人がかなり増えています。

3.ミニ税法(相続・消費・固定)

ミニ税法の中で人気があるのが「相続税」と「消費税」で、毎年12%~14%の合格率で推移をしています。

固定資産税については、計算が得意な人が一発合格しやすい科目で、毎年10%~15%の合格率で推移しています。ただし、固定資産税については、計算が満点付近、理論がそこそこであれば合格しますので、あまり合格率は気にしないで良いと思います。

4.ミニ税法(酒税・国徴・事業・住民)

酒税法、国税徴収法、事業税は毎年12%~13%前後で比較的、安定的に推移をしています。特に国税徴収法は、税理士試験で唯一の「理論のみの税目」であるため、安定を重視する人は、国税徴収法の選択をお勧めします。(理論は実力が反映されやすいからです。)

なお、以前は住民税は合格率が高く、おいしい税目でしたが、最近はそうでもなくなってきています。むしろ所得税法合格者がラス1科目で受験する科目なのに、合格率10%前後というのは、厳しい科目と言えます。

合格者の属性

国税庁HPが公表をしている税理士試験の合格者の属性を見ると、若い人ほど合格しやすいということが分かります。

1. 学歴別合格率

学歴の違いとしては、在学中の大学生の合格率が突出して高く、次いで高卒 > 大卒 > 専門卒 > 短大卒という順番となっています。

年度 大学生 高校卒 専門卒 短大卒 大学卒
H30年
2018年
21.4% 17.9% 15.1% 9.6% 14.7%
H29年
2017年
29.7% 21.4% 17.2% 15.6% 19.8%
H28年
2016年
22.0% 18.1% 13.7% 10.0% 15.5%
H27年
2015年
29.8% 21.9% 15.0% 13.3% 17.3%
H26年
2014年
26.1% 17.9% 14.5% 11.2% 16.4%

2. 年齢別合格率

年齢の違いによる合格率は顕著で、年齢が若いほど合格しやすく、年齢が高くなるほど合格率が低くなります。25歳以下と41歳以上とでは実に2倍~3倍の合格率の差があります。

年度 25歳以下 26-30歳 31-35歳 36-40歳 41歳以上
H30年
2018年
27.0% 18.1% 16.8% 14.3% 10.0%
H29年
2017年
34.0% 24.5% 21.6% 18.2% 13.3%
H28年
2016年
26.5% 17.3% 17.1% 15.1% 10.5%
H27年
2015年
32.4% 21.8% 19.2% 16.0% 10.4%
H26年
2014年
28.9% 20.7% 17.1% 14.1% 9.9%

合格までの所要年数

下記のチャートは平成29年度官報合格者(795人)が「初めて科目合格をした年から官報合格までにかかった期間」をグラフ化したものになります。

出典元:税理士試験の合格まで何年かかるのか?-資格Hack

期間 1~3年 4~6年 7~9年 10~12年 13~15年 16~18年 19~21年 22~24年 25~27年 28~30年 31~33年 34~36年 37~39年
人数 47人 215人 179人 124人 83人 58人 30人 29人 8人 10人 8人 2人 2人
割合 5.9% 27.0% 22.5% 15.6% 10.4% 7.3% 3.8% 3.6% 1.0% 1.3% 1.0% 0.3% 0.3%

合格までにかかった期間として、一番多いのが4年~6年で全体の3割弱います。次いで、7年~9年10年~12年と続きます。

なお、5年以内の合格率は約25%、10年以内の合格率が約60%となっています。

もちろん、途中休憩をしたり、学生時代に簿財を取っておいて、社会人になってから勉強を再開したりという人もいると思いますので、一概にこの期間が合格必要期間とは言いませんが、一般的には合格までには10年くらいかかるということを理解しておく必要があります。

科目別難易度

1.簿記論

  • 合格レベル到達難易度 → やや難
  • 勉強時間 → 1日1~3時間 × 10カ月
  • 合格難易度 →

簿記論は、試験範囲がそれほど広くないため、合格レベルに達するのは比較的容易ですが、奥が深いためハマりやすいため、合格難易度は「」です。

なお「簿記論」については、かなり詳しく下記にまとめていますので、参考にしてください。

● 日商簿記1級との比較

税理士試験の簿記論と日商簿記1級の難易度はよく比較の対象となりますが、簿記論の方が難しいでしょう。(両者の対比表は下記)

簿記論 比較項目 簿記1級
商業簿記のみ 範囲 商業簿記・工業簿記
出題無し 理論 出題あり
普通~難しい 設問の難易度 優しい~やや難しい
14.1% 平均合格率 9.6%
簿記2級~簿記1級 受験生のレベル 簿記2級
1回 1年の開催回数 2回

※ 平均合格率は直近10回の平均合格率です。

2.財務諸表論

  • 合格レベル到達難易度 → 普通~やや難
  • 勉強時間 → 1日1~2時間 × 10カ月
  • 合格難易度 → 普通

財務諸表論は、理論ボリュームが多いため、合格レベルの到達難易度は簿記論や消費税法、固定資産税と比べると高いですが、計算は簡単な方ですので、税理士試験の科目の中では、1番簡単な科目です。

合格率も、15%~20%と、他の科目と比較しても5%前後高くなっています。

3.法人税法

  • 合格レベル到達難易度 →
  • 勉強時間 → 1日2~5時間 × 10カ月
  • 合格難易度 → 激難

法人税法の難易度は、全科目中No.1の難易度を誇り、たった1つの科目のため3年~5年と足止めをされている人がゴロゴロいます。

近年のトレンドは、上の方でも書いている通り、法人税法(や所得税法)を避けて「院免」を選択する人がかなり増えています。

4.消費税

  • 合格レベル到達難易度 → やや難
  • 勉強時間 → 1日2~3時間 × 8カ月
  • 合格難易度 →

以前は消費税は固定資産税と同じく、理論が少なく、計算パターンも単純であったため、計算パーフェクト+理論そこそこで合格ができる科目でした。

しかしながら、消費税法は毎年のように税制が大きく変わり、令和2年からは軽減税率などの新しい制度が導入されるなど、年々合格レベルへの到達難易度が高くなっています。

一方で理論の完成度も重要になってきているため、努力が成果に結びつきやすくなっているとも思います。

なお「消費税法」については、かなり詳しく下記にまとめていますので、参考にしてください。

5.相続税

  • 合格レベル到達難易度 →
  • 勉強時間 → 1日1~3時間 × 10カ月
  • 合格難易度 →

相続税はミニ税法に分類されますが、ボリュームは法人税法や所得税法と肩を並べるレベルであり、合格レベルへの到達難易度及び試験合格難易度ともに高い科目です。

なお、相続税法の理論は、条文そのままの問題が多いため、差があまりつきません。したがって、計算の練度がものを言う税目です。

6.固定資産税

  • 合格レベル到達難易度 → 普通~やや難
  • 勉強時間 → 1日1~2時間 × 6カ月
  • 合格難易度 → やや難

固定資産税は、理論の範囲が狭く、計算も内容は少ないため、合格レベルへの到達難易度は、簿記1級と同程度又はそれよりも下くらいでしょう。

ただし、本試験では「9割以上の正答率」が求められるため、何回やっても合格できない人はできないですし、運も必要な科目です。

最後に

税理士試験は、資格的には公認会計士試験からは劣後の関係にあります。なぜなら、公認会計士は登録をすることで税理士になれますが、逆はできないからです。

ですが、試験自体の難易度は同じくらいか、税理士試験の方が少しハードだと思います。

そのため、2~3年という単位で1日当たり8時間以上の勉強時間を確保することができる人(特に学生)の場合は、短期集中型の公認会計士試験を受験することをお勧めします。

一方、社会人の場合はほとんどの場合、それほどの時間を確保できる人はいないでしょうから、税理士試験を選択することになりますが、やはり合格率10%前後の試験を5科目突破するというのは、想像以上に大変なものです。

正直、1科目1科目の試験のレベルはそこまで難易度が高いものではありません。

しかし、だからこそ、多くの受験者がそれなりに仕上がっていることになり、その中で10%前後の合格率というのは見かけ以上に難易度の高い試験になっていると言えるのです。

税理士試験を目指すと、大手予備校を利用した場合は全ての科目を1発合格したとしても、だいたい100万円近くの予備校代がかかります。

また、最低でも3年間は自由な時間がなくなるため、社会人で家族がいる方は家族にはとても迷惑をかけますし、会社にも多少なりとも迷惑をかけるでしょう。

たまに2年で合格する社会人もいますが、そういった人は非常に稀で、人一倍努力をして、かつ、運が良かった人です。100人の社会人合格者がいてもそんな人は1人いるかどうかです。

そのような、難易度の高い資格を目指すというのであれば、いかに短期合格を目指すか、そして、もし不合格であってもモチベーションをどれだけ維持できるかがとても重要なことになります。

長丁場になり、精神力も試される試験ですが、弁護士や公認会計士などの才能や運が大きく作用する試験とは違って、努力が実を結びやすい試験でもあります。諦めないという気持ちが大切である、と最後にお伝えして終わります。

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収