税理士試験の科目の選び方

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収

ここでは、税理士試験の各科目の標準的な勉強時間受験科目の選び方についてご紹介します。

目次

社会人の1年間の勉強時間

まず、勉強時間について語る前に簡単に「社会人が1年間で確保できる勉強時間」についてお話をしたいと思います。

下の表は税理士試験を受験する場合の時期ごとの勉強時間の目安です。

時期 総勉強時間 曜日 通勤時間など 朝・夕など
基礎期
9月~12月
400時間 平日 1時間 2時間
祝日 4時間
応用期
1月~4月
550時間 平日 1時間 3時間
祝日 6時間
直前期
5月~7月
650時間 平日 1時間 4時間
祝日 10時間

筆者はかれこれ10年以上、色々な資格の勉強をしていますが、社会人の場合は確保することができる勉強時間には限りがあるとよく思います。

例えば、正社員であれば残業土日出勤もあるでしょう。職種によっては、繁忙期には1日1時間すら勉強時間を確保するのが大変ということあると思います。

結婚をしていたり、子どもがいるようであれば、「家族との団らん」の時間も必要になってきます。

したがって、正社員で働いている場合は、1年間(9月から翌年の7月)に確保することができる勉強時間は、突発的な残業などを考えれば、だいたい1,000時間から1,500時間が目安になると思います。

最大の勉強時間は1,600時間くらいと思っていいと思います。

これ以上勉強量を増やそうとするならば、基礎期応用期に勉強量を増やすことになると思いますが、勉強量を増やせば増やすほど、長期戦の税理士試験では息切れをする可能性が高くなります

実際にはこのくらいの勉強量でもかなり大変です。なぜなら、1日さぼると次の日以降はその分を挽回する必要がありますが、それはほとんどの場合難しいからです。

色々な試験を受けてきて思うのは、大切なことは、勉強時間を増やすことではありません。

一番重要なことは、勉強時間の質を高めること、これに尽きます。

スマホをチラ見しながら、WebやLineをチラ見しながら、テレビをチラ見しながらの勉強は、本当に集中をした勉強の1/3もできていません。

やみくもに勉強時間を増やすくらいなら、今の勉強時間を少し減らして、完全に勉強に集中する時間を増やしましょう

東大に進学する生徒はしっかりと休む?

筆者は育児書を良く読むのですが、東大に進学する生徒の多くが週に1度全く勉強をしない日を作ると度々目にします。

私も子どもが産まれてからは、家族と一緒に過ごす時間は増えましたが、一方で集中をして勉強をする時間も増え、結果として試験の合格率が上がっています

なお、集中して勉強をするためにはスケジューリングがとても大切です。

私は月初に1ヶ月ごとに勉強の目標を立てます。例えば「1日ごとに解くべき問題の番号をカレンダーに書き加えます。」

できるだけ早く解き、週に1度休む日を作れるようにします。こうすることでゲーム感覚で勉強をすることができ、モチベーションを高く保って、効率的に勉強をすることができます。

もし今現在スケジューリングをしていないようであれば、是非、今後1ヶ月のスケジューリング(目標設定)をしてみてください。

各科目の勉強時間

初学者」と「経験者」の各科目の勉強時間の目安は下記の通りです。

ちなみに、初学者と経験者とでは、理論を理解したり、計算式を覚えたりする「インプット」の時間に大きな違いがあります。

1. 初学者の場合

科目 総計 講義 理論 計算
簿記論 900時間 150時間 750時間
財務諸表論 900時間 150時間 350時間 400時間
法人税 1300時間 200時間 500時間 600時間
相続税 1100時間 200時間 400時間 500時間
消費税 600時間 100時間 200時間 300時間
固定資産税 500時間 100時間 200時間 200時間

表の通り、「法人税」や「相続税」などの重たい税法科目は勉強時間が1,000時間を超えてきますので、社会人の場合は1年で1科目に専念することになります。(所得税も法人税法と同じくらいかかると言われています。)

一方、ミニ税法と言われる「消費税」や「固定資産税」(酒税や国税徴収法なども含まれます。)については、内容的には初学者が簿記2級を学ぶレベルだと思いますので、社会人であっても1年で複数科目の受験ができると思います。

なお、簿記論と財務諸表論については、互いに試験範囲が被るため、同時受験をした場合には1500時間前後になると思います。(もし簿記2級以上に合格をしているようであれば、1200時間くらいまで負担が減ると思います。)

2. 経験者の場合

科目 総計 講義 理論 計算
簿記論 400時間 400時間
財務諸表論 400時間 200時間 200時間
法人税 750時間 100時間 350時間 300時間
相続税 650時間 100時間 300時間 250時間
消費税 300時間 150時間 150時間
固定資産税 300時間 150時間 150時間

表の通り、経験者の場合は、インプット時間が大幅に減り、アウトプット中心になるため、初学者の場合と比べて勉強時間がかなり少なくなります。

基本的に、簿記論や財務諸表論、消費税、固定資産税については、経験者の場合は「独学」と「大手予備校の直前対策パック(資料コース)」のコラボが一番だと思いますので、講義時間は考えなくて良いと思います。

経験者の場合は、法人税や所得税などの税制がコロコロ変わる税目でない限り、新しく取り込む情報はそれほど多くありません。

自分で学ぶことができる人は、税制改正については、国税庁の「基本通達」や「質疑応答事例」を見れば、だいたい理解できると思います。

経験者の場合はとにかく「理論暗記」と「計算問題対策」に時間を多く割くことが重要だと思います。

受験科目の選び方

税理士試験の受験科目

まずは受験科目の選び方の前に、簡単に税理士試験の受験科目についてお話しをします。

税理士試験には次の11科目の試験科目があり、そのうち5科目に合格をすることで最終合格となります。

科目 必須科目 補足事項
簿記 必須会計科目
財務諸表
法人税 必須税法科目
所得税
相続税 選択税法科目
消費税
酒税
国税徴収法
住民税
事業税
固定資産税

ただし、官報合格をするためには、会計科目(簿財)の合格税法3科目の合格が必要となります。(さらに税法科目の少なくとも1科目は法人税法または所得税法である必要があります。)

したがって、受験生は必然的に次のいずれかを選択することになります。

  1. 簿記財表法人+他の税法2科目
  2. 簿記財表所得+他の税法2科目
  3. 簿記財表法人所得+他の税法1科目

3番目の選択肢を見てもらうと分かりますが、他の税法科目には「法人税法」と「所得税法」も含まれていますので、法人+所得+税法1科目という選択肢もありということになります。

受験科目の選び方

次からは筆者が考える「受験科目の選び方」についてお話します。

なお、会計科目(簿記と財表)については、選択の余地はありませんので、税法科目の組み合わせのみご紹介します。

1. 税理士法人へ就職希望 + 勉強時間小

税務の実務経験が無く、税理士法人への転職を考えている人で、勉強時間をあまり確保できない人の場合は、次の税法科目の選択が良いと思います。

法人 + 消費 + 固定 or 国徴

年齢にもよりますが、実務経験が無い人が税理士法人への転職をする場合は法人税法が武器になります。

求人募集を出している多くの税理士法人のメイン業務は「法人税の申告業務」です。

そのため、法人税の申告業務について未経験の人は、実質的に戦力外であるため、税理士試験の合格発表があった12月頃のような繁忙期では採用されにくい傾向にあります

このときに「法人税法の合格」があると、所得税の合格がある人よりも確実に採用されやすくなります。

したがって、税理士法人へ転職を考えている場合は、法人税法はマストな選択と考えてよいと思います。


次に、これ以外の税法科目ですが、勉強時間を多く確保できない人の場合は消費税法固定資産税の組み合わせが良いと思います。(暗記が得意な人は国税徴収法の選択もありです。)

この2つは暗記量が少ないため、他の税法科目と比べて、忙しい人でも他の受験生と対等に戦える科目になります。

ただし、序盤で計算ミスをすると雪崩式に間違うため、1発アウトのある恐ろしい科目でもあります。

もし暗記が得意と言う人は「国税徴収法」の選択も考えてよいと思います。こちらは暗記の辛さはありますが、比較的実力が結果に結びやすいので、選択をする人が多い科目となっています。

2. 税理士法人へ就職希望 + 勉強時間

税理士法人への就職を考えている人で、勉強時間を多く確保できる人(勉強に専念できる人や学生)の場合は、次の税法科目の選択をお勧めします。

法人 + 所得 + 相続

法人税法の重要性は先の通りですが、所得税法と相続税法を合格しておくと、就職に幅が広がります

例えば、中堅・大手の税理士法人では「相続」や「事業承継」などの事業に特化している事務所が多くあるため、相続税を合格しておくと、就職の選択肢が広がります

同様に、富裕層向け(外国企業の日本法人の役員など)のサービスを展開している大手税理士法人があるため、所得税法を合格しておくと、これも就職の際に選択肢が広がります

ただし、この選択は働きながらではあまりにも過酷なため、社会人にはお勧めしません。

途中でガス欠になってしまうくらいなら、まずは5科目を揃えましょう。税理士法人で働きながら、他の税法知識を身に着ける方が結果的に良いことが多いです。

3. 他の税法科目について

基本的に「酒税・住民税・事業税」はよほどの事情が無い限り選ぶ必要はないと思います。

なぜなら、

  1. 就職で特別必要とされない
  2. 合格率も特別に高くない
  3. 受験生も少なく、情報量が少ない

など、選択をすることを勧める理由が特にないからです。

就職ということを考えれば最悪「法人税法」だけあれば十分だと思います。(もし資産税に行きたいようであれば相続税があると良いです。)

そこに余力に応じて「所得税・相続税・固定資産税・消費税・国税徴収法」の中から2つ選ぶというスタンスが一番だと思います。

概要 科目選び 予備校 勉強方法 難易度 年収